2018年3月26日の読売新聞に、「新卒採用にAIの目」と言う記事が載っていました。ついにここまで来たか、と言う感じがしたのですが、今後は新卒に限らず中途、転職市場にも及ぶ可能性もあると思います。

今回は採用試験におけるAI導入のニュースから記事にしてみました。

 

AI

 

大企業の23%がAI導入検討

同記事によると、サッポロビール、損害保険ジャパン日本興亜、ソフトバンクなど、従業員5,000人以上の大手企業の23%が採用活動にAIを導入、あるいは導入検討をしているそうです。

これはどんなシステムかと言うと、過去の膨大な採用事例をデータベース化し、応募者の書類が合格点を満たすかどうかをAIに判定させると言うものです。

現状ではあくまで書類選考の補助的な用途に限定されており、最後は採用担当者、人間が判断しています。

 

導入を検討している企業によれば、AI導入によって次のようなメリットがあるそうです。

①人事担当の好みを排除した客観性のある判断が可能。

②書類選考に所要時間を4割削減。

なのだそうです。

 

確かに大手の新卒採用だと応募者だけでも何百、何千といることでしょう。その応募者全ての書類に目を通す作業はどれだけ大変か、時間がかかるか想像に難くありません。

それをAIが代行するとなれば、人事担当者は助かることでしょう。

 

履歴書の山

 

ただ、応募する側からの感想は、

「合否の判断が分かりにくく、自分の人生をAIに左右されたくない。」

と言った声もあるそうです。

これもまた分かります。

 

しかし、導入側は「AIを使うと客観的な判断ができる」と言い、応募者側は「合否の判断が分かりにくい」と言ってます。実際問題、これらの意見や感想は当たっているのでしょうか。

 

AIで客観的な判断ができると言うけど・・・

設備保全の面接を20年間、500人やってきた私の経験から言わせて頂くと、採用は主観的なものです。客観的ではありません。合否は分かりにくいものです。

何だか全部否定してしまいましたが、それが私の実感です。

 

今回の記事では書類選考の範囲でAI導入と言うことですが、むろん書類選考の後には面接があります。

例えば、10人面接したとしたら、こりゃ絶対我が社に欲しい人材だ、と誰もが思う応募者が1人、2人います。またその反対に絶対我が社には不要だ、と思う人もまた1人、2人います。

ここは非常に分かり易く、誰も異議を唱える人はいません。

 

問題は残りの6人です。この中から合格者を1人だけ選ぶとしたら、面接官全員が合意することは難しいです。

そもそも面接は細目に渡って点数化して評価、その合計点で決めるなんてことをやります。でも点数の評価だから客観的とは言えません。

「積極性」「リーダーシップ」「柔軟性」「プレゼン能力」など、色んな項目がありますがそれを点数化する作業はまさに主観的です。

 

ある面接官が合格点をつけても、別の面接官は不合格の評価を下すことは普通にあります。そこをいちいち全員納得が行くまで話していると時間がいくらあっても足りないので主観的な評価を承知の上で採点するわけです。

このとき、不合格になった応募者からすれば納得いかない、判断基準が分かりにくいと思うかも知れません。

 

採用試験に限らず、人事には必ず主観的評価がついて回ります。

そして、それは決して悪いことではないと思います。人間としての魅力や可能性を全て数値化する、客観データに置き換えるなど、無理なことだと私は思います。

 

それこそ面接官の能力次第で優秀な人材が採用できるかどうか、決まって来るのだと思います。その意味では面接官もまた色んなタイプの人材を揃えるべきだと思います。

そうしないとすごく偏った人材採用になってしまう危険性があると思います。

 

同時に能力の低い面接官の仕事はAIに置き換わり、失職する可能性大だと思います。

 

話がちょっと横道にそれましたが、AIを使って客観的に評価する、面接官の好みを排除する、と言っても限界があるだろうし、主観的評価も悪いことばかりではないと言いたいのです。

今後AIがどのような形で採用試験に導入されるのか分かりませんが、恐らくどんなに導入が進んでも人の判断がゼロになることはあり得ないでしょう。

 

中途採用、転職市場にもAIは導入される?

景気が良くなって人手不足が深刻化する中で、各企業とも優秀な人材をいち早く確保したい、その為にAI導入によって書類選考の時間を短縮したい、その狙いはよく分かります。

この動きが拡大すれば、当然ですがやがては中途採用、転職市場にもAIが導入される時期が来るでしょう。例えば大量の履歴書、職務経歴書の中から、欲しい人材の応募者を選び出す、などの作業は容易にやれそうです。

 

AI導入

 

中途の場合はキャリア、資格などによって採用条件が明確になっていることが多く、その意味では新卒採用以上にAI導入がやり易いかも知れません。

「新規設備導入に適性のある人材」

「保全チームのリーダーとなれる人材」

などの条件設定で応募者を絞り込む作業など、AIを使えばあっという間でしょう。中途の場合、これまでのキャリア、取得した専門資格など判断材料が多いと思います。

 

20年、30年先がどうなっているか、そこまでは予想できませんが、当面転職希望のあなたがAI導入に振り回されることはないでしょう。

しかし、AI導入が進み、転職ガイド本にも「AI対策」が載る時代が意外と早く到来するかも知れませんね。