あなたは「働き方改革関連法」をご存知ですか?

この法律は2018年6月29日に成立した法律で、これによって労働基準法、労働安全衛生法など8本の労働法が改正されました。

 

連日テレビや新聞、ネット上でも大きく取り上げられたのであなたも見たり聞いたりしたことがあると思います。

でも、詳しい内容をご存知ですか?

いつから、何が変わるかご存知ですか?

 

「どうせ自分には関係ないから・・・」

と思っているあなた。とんでもありません!

働き方改革は全ての労働者、企業経営に大きな変化をもたらすものです。

ここでは設備保全の仕事をしている人たち目線も入れて改正の一部を紹介したいと思います。

 

そもそも何のための法改正か?

働き方改革の趣旨について、厚生労働省のホームページでは次のように説明しています。

「働き方改革」は、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

 

と言う趣旨なのです。

また、こうも書かれています。

 

「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの直面し、こうした中で生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

 

まぁ、大元の概念は何となく分かりますね。

別の見方をすれば過労死のような健康被害を防ぐことも目的の1つです。私のかつての職場でも、過労死こそなかったものの重大な健康被害はいくつも見てきました。

 

慢性化した長時間労働によって精神を病んだり、激やせしたり下痢や頭痛が続いたり。そうした健康障害を訴える社員が何人もいました。

 

全てが仕事起因ではないかも知れませんが、大きく影響していたのは間違いありません。そうした社員の健康被害を無くすことも働き方改革の狙いの1つです。

 

では、具体的にあなたの身の上に何がどう変わるのか、それはいつからなのか、具体的に説明していきましょう。

 

また、私の勤務していた半導体工場には正規社員の他に有期社員、派遣社員、パートさんなどが働いていました。

 

今回の働き方改革では同一労働同一賃金がうたわれています。合理的な理由なしに非正規社員を差別することは出来なくなります。

 

こうした働き方改革の主だった内容を説明していきたいと思います。設備保全の仕事とどう関係があるのか、あなたご自身にどう関わるのか、イメージしながらお読み頂ければと思います。

 

過重労働の結果
過重労働で精神や肉体を病む社員は多い

 

「働き方改革関連法」5本柱とは?

働き方改革の主な5本柱を説明していきます。この他にも改正項目がありますが、詳しくは厚生労働省のホームページなどをご覧下さい。

①労働時間の上限規制

全く自慢になりませんが、私が関西の事務機メーカーから地元の半導体工場にUターン転職したとき、最初の2年間はムチャクチャでした。

 

新しい会社に新しい仕事。新しい技術に新しい部下。何もかもが新しく変わり、私にはいくら時間があっても足りませんでした。

 

気が付けば毎日帰宅は深夜、土日も仕事で月に2日休めばいいほう。時間外勤務が毎月軽く100時間を超えていました。

まだ体力、精神力、気力があったからやれたのでしょうね。

 

今回の法改正で、時間外労働は

『月45時間、年360時間とする』

と決められました。

以前の私だと1年どころか3ヶ月で年上限をオーバーです。

 

月に45時間だと、平均2時間/日ですね。オーバーする日があれば、ノー残業の日を作る必要があります。

それでも毎月45時間やっていると8ヶ月で年間の上限に達します。しっかり残業管理しないとオーバーしますね。

 

しかし・・・

これ、どこまで実効性があるか疑問なところもありです。

目の前で生産設備が停止したり、設備の新規導入が遅れたりしたら、やはり残業で対応するハメになるでしょう。

 

と言う訳で、特別忙しい月については別途上限が決まっています。伴って年間の上限も特別条項が設定されています。

 

●単月の残業時間を100時間未満とすること。

●1年の残業時間を720時間以内とすること。

●複数月(2~6ヶ月)の月平均の残業時間を80時間以内とすること。

●月45時間を超えることが出来るのは年6ヶ月とすること。

 

と言うことです。そうでしょうね、こうなるでしょう。まぁ、これだとかなりの部分はカバー出来ると思います。

 

いずれにしても今後は残業を減らすための生産性向上、業務の合理化が強く求められます。今までと同じ発想、同じパターン思考ではついて行けない、やって行けない時代になります。

 

ちなみに、設備保全の現場で残業を抑えるにはどうすればいいでしょうか。メンバー全員の残業が多いとなれば本質的な根深い問題ですが、ある特定のメンバーだけが異常に多いなら解決は可能です。

 

特定のメンバーだけに残業が多いのは、その人が担当している工程、設備を他のメンバーに振れないことが理由です。

 

従って、負荷が増えて忙しくなった時、ある程度誰でも応援に入れる体制を作ればいいのです。設備保全の多能工化を進めればある程度解決出来ます。

作業の標準化、簡素化なども必要になるかも知れません。こうした取り組みであなたの存在価値を発揮できるといいですね。

 

以前、当サイトで『「自分にしか出来ない」は自慢にならない』と言う記事で同じことを説明しています。

 

この上限規制に違反するとて6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されます。そしてこの改正の施行時期は大企業が2019年の4月から、中小企業は2020年の4月からです。

 

残業制限
残業時間には上限が設定されます

 

②同一労働同一賃金

「同一労働同一賃金」この言葉、よく耳にしますよね。全く同じ仕事をしているのに、正規社員と非正規社員ではかなりの賃金差がある、これは不平等だと言う訳です。

よく欧州連合(EU)諸国では同一労働同一賃金が普及していると言われますね。

 

日本の場合は正規、非正規に限らず年序列による賃金体系が存在するので、全く同じ仕事をしていても勤続年数が多いほど高い賃金になっています。

それで若い社員がクレームをつけます。

 

しかし、そのクレームをつけている若い社員もやがて勤続年数が古くなると同じように賃金が増えていきます。長い目でみれば不公平は解消されます。

 

しかし、非正規の場合は何年経っても大して賃金は増えません。いつまでも不平等なままの状態が続きます。

 

今回の法改正はあくまで同じ正規社員同士の差を問題にしているのではなく、正規、非正規間の差を問題にしています。

 

要するに、正規社員と非正規社員が同じ仕事をし、同じ貢献度なら同じ賃金、同じ福利厚生、同じ教育訓練の機会を与えなければならない、と言う訳です。

正規社員と非正規社員の間に不合理な差をつけることは許されないと言うことです。

 

かつて私が勤務していた半導体工場でも設備保全には正規社員の他に非正規社員が働いていました。有期契約社員、派遣社員、パートさんもいました。

 

中には非常に優秀な非正規社員もいて、同一労働どころか正規社員の上をいく労働をしている場合もありました。

私の勤務していた工場の場合、残業手当、休出手当、交通費、教育訓練、こうしたものは正規社員も非正規社員も同等だったと思います。

しかし、一番肝心の賃金ではやはり差がありました。

 

この問題は「同一労働」の定義が難しく、裁判で争われることも度々あります。

厚生労働省のホームページにも、

『待遇差が不合理か否かは、最終的に司法において判断されることにご留意ください。』

と書かれています。

 

設備保全の現場はエンジニアの世界です。いかに保全スキルのレベルが高いか、設備の安定稼働に貢献しているか、それが評価の基準です。

本来は正規社員だろうが非正規社員だろうが、そこで判断されるべきでしょう。

 

正規社員であることだけを頼りに上から目線で非正規社員に対していた人は、もう今までのようには行きません。

正規か非正規かで評価されるのではなく、仕事の質、成果で評価されるようになります。

 

この同一労働同一賃金の改正は大企業が2020年4月から、中小企業は2021年4月からの施行となります。

この法律に違反した場合、企業への罰則規定はありません。ただし、不合理な差別を受けたと裁判に訴えられる可能性があります。

 

差額を損害賠償請求されることは十分あり得ます。先ほども書いた通り、「待遇差が不合理か否かは、最終的に司法において判断される。」ことになります。

 

働き方改革
働き方改革

 

③高度プロフェッショナル制度

高度な専門知識を有し、年収1075万円以上の専門職については働いた時間ではなく成果で賃金を払うと言うものです。

 

これは働き方の自由度を高める狙いで、極端に言えば毎日4時間しか働かなくても期待される成果を出せばそれで給料やボーナスがもらえるわけです。

 

しかし、設備保全で年収が1075万円以上と言うと、かなり限定されます。通常のライン保全ではまずそこまでの高給はありません。

実際1000万円超えの求人は、どれも設備保全を自分でやる仕事ではなく、設備保全の仕組みを作る、保全環境を開発するなど付加価値の高い仕事です。

 

あるいは量産工場全体のユーティリティ保全の責任者、発変電所の保守保全責任者などの広範囲に及ぶ保全業務の統括責任者のような仕事になります。

 

しかし、そうした仕事で高額年収を得ている人も現場対応は必須ですから、なかなか時間を自由に使うのは難しいかも知れません。

 

この制度は大企業も中小企業も2019年4月から運用開始となります。

 

④年5日の有休消化の義務化

ホントにこれはぜひやって欲しい法改正です。日本人って、どうして有休を使わないのでしょう?

本当は完全消化したいけど、上司や同僚の冷たい視線に耐え切れず、使いたくても使えないのです。せいぜい風邪で寝込んだときや冠婚葬祭の時くらいしか使いません。

 

旅行やレジャーで有休を使うのは、ほんの限られた日数で、毎年どんどん有休がたまっていく、あなたもそうではありませんか?

 

しかし、2019年4月から有休消化の義務化が運用されます。今までもみたいに恐る恐る有休届を出す必要はありません。

企業側があなたの希望を聞いた上で、「〇月×日に休んでください」と指定するようになります。あなたは気兼ねなしに有休を活用できるようになります。

1年に5日は社員が有休を使うよう、企業側に義務化するものです。

 

むろん、有休を思い切り活用して楽しむには、その間設備が安定して稼働するよう、日頃からの保守保全が肝心です。

それでこそ誰にも文句を言われず、あなたも気を遣わずに休めると言うものです。

 

⑤勤務時間インターバル制度

この制度は強制的なものではなく、あくまで努力義務です。2019年4月からのスタートとなります。

厚生労働省では、過労死防止大綱の中で2020年の導入率10%以上という目標を設定しています。

 

内容は、文字通り、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間のインターバルを設けると言うものです。睡眠時間を確保し、過労死のような健康被害を無くすことが目的です。

 

EUでは最低でも11時間のインターバルを取ることが必要とされています。日本でもすでに導入している企業があり、8時間~11時間の設定が多いようです。

 

しかし、8時間だと深夜12時まで働いて、翌日は8時に出勤もOKと言うことになります。これで十分な睡眠が確保できるとは思えません。

まぁ、現場対応を考えると8時間止む無し、11時間では困ると言う実態でしょうか。

 

私が勤務していた半導体工場では、深夜遅くまで現場対応した場合は翌日の遅刻を認めていました。

特に就業規則などでルールが決められていた訳ではありませんが、職場の管理者の判断で運用していました。

 

ただ、大きなトラブルの対応や新規設備の立上げなどで、どうしても連日の作業になった時、そうそう翌日に遅刻も出来ず無理することもありました。

しかし、それも1日かせいぜい2日の話です。健康上の問題もあるし、睡眠不足で保全作業すると危険な場合もあります。作業効率も悪いし無理は得策ではありません。

 

まとめ

今回は「働き方改革関連法」の一部を紹介しました。全てを説明するのは到底無理なので、詳しく知りたいあなたは厚生労働省のホームぺージなどをご利用下さい。

こうした働き方改革を行う背景には労働者の健康を守る、過労死のようなあってはならない悲劇を防ぐ目的があります。

 

逆に言えば今までは社員の健康を犠牲にしても会社のノルマ達成、売上優先の実態があったわけです。これからはそんな企業に優秀な人材は来ません。

 

大手の転職サイトの求人を見ても、ワーク・ライフ・バランスを重要視する企業が増えています。むろん、今回説明した働き方改革が後押ししています。

 

ワーク・ライフ・バランス
ワーク・ライフ・バランス

 

あなたが設備保全の転職先を探すとき、働き方改革への取り組みはどうなっているか、しっかりチェックして下さい。

求人情報だけに頼らず、当サイトで紹介しているキャリコネも利用してみて下さい。全国60万社以上の社員からの生投稿を読むことが出来ます。

 

残業時間、休日出勤の実態、サービス残業の有無など、内部情報が分かります。私もかつて勤務していた2つの会社の生投稿を見ましたが、まさに「内部情報あるある」でした。

絶対に内部の人間にしか書けないことが出てきて、思わず苦笑です。

 

あなたと働き方改革の関係がイメージ出来たでしょうか。あなたの働き方も変わっていきます。