私自身が設備保全を実務としてやっていた時、あるいは部下の指導にあたっていた時、いつも大事だと考えていたことがあります。それを今回、記事にしてみたいと思います。

私が保全業務を行う上で大事にしていた考え方、それは、

「〇〇〇は、●●●によって保障されている。」

この、〇〇〇と●●●をハッキリさせ維持すること、これが保全業務の基本だと考えていました。

 

本質

 

「〇〇〇は、●●●によって保障されている。」

ちょっと何のことか分かりにくいですね。具体例で説明しましょう。

ある製造設備があったとします。その設備の仕様では、1時間に1000個の製品が製造されるものだったとします。すると設備保全の立場では、1000個/時間と言う設備能力の維持が1つの目標となります。

 

では、もしもこの能力が800個/時間に落ちたとしたらどうでしょう。生産能力20%ダウンですから、これは生産目標達成に大きな障害となります。

設備保全としてはこの状況を異常ととらえ、元の1000個/時間に復旧させる必要があります。

では、どうやって元の能力に復旧させるのか?どんな手順で、どこを調べるのか?これが問題です。

 

こんな場合、大切なことは、

「もともと、1000個/時と言う生産能力は、どんな根拠で成立した能力(数値)なのか」

と言うことです。

設備メーカーが何の根拠もなしに、適当に決めた数値ではないでしょう。設備仕様を決めて設計した時に、駆動系や搬送系など、詳細に計算しているはずです。

そして設備が完成した時に、計算通りの仕様になっているか、能力になっているか、それを検証しているはずです。

 

性能書

 

一般に、量産用の生産設備なら生産能力、処理能力はインデックスタイムやサイクルタイムなどで決まります。それぞれの数値によって1時間当たりの処理能力が決まるのです。

ここで最初に私が大事だと言ったことを思い出して下さい。

「〇〇〇は、●●●によって保障されている。」

ここで言えば、

「1000個/時間の処理能力は、3秒/回のサイクルタイムによって保障されている。」

こうなります。

 

すると、1時間に800個の処理能力に落ちたとき、すぐにサイクルタイムを測定します。すると4.2秒/回に落ちていることが分かりました。

では、なぜサイクルタイムが4.2秒/回に落ちたのか。ここでまた、そもそも3秒/回と言うサイクルタイムは何によって保障されていたのかを考えます。

「3秒/回のサイクルタイムは、モーター回転数1000RPM、搬送ベルトのトルク伝達力によって保障されてる。」

だったとすると、モータに異常はないか、搬送ベルトに異常はないか、こんな手順で調べていきます。即座に原因の特定に至らなければ、取り合えずモータを交換、ベルトを交換、と言った手順で原因を探っていきます。

 

モーター

 

まぁ、今のは完全な作り話しですが、要は設定された設備仕様の裏付け、根拠は何であるかを考え、それを1つずつ調べていくのです。

そうすれば高い確率で原因究明に行き着きます。

逆に言えば、この調査項目が設備保全の点検項目となります。それは日常点検なのか、定期点検なのか分かりませんが、

点検項目1:サイクルタイム

点検項目2:モータ回転数

点検項目3:ベルトテンション・形状確認(摩耗、裂傷、こすれなど)

こんな項目が点検対象となります。

 

こうした設備の処理能力や、品質に関わる仕様は、単にその数値や条件を鵜呑みにするのではなく、必ずそれを担保している根拠は何か、それを考えます。

そして繰り返しますが、

「〇〇〇は、●●●によって保障されている。」

これを明確にしておきます。そうすることがトラブル時の対応マニュアルになるし、点検項目になります。

 

チェックリスト

 

設定条件のマージン確認が大事

また、それぞれの設定値がどのくらいのマージンを持ってるのかも予め確認しておきます。

サイクルタイム 3.0秒±0.2秒

モータ回転数 1000RPM±5%

ベルトテンション 3Kgf±10%

このマージンがどのくらいシビアな設定値なのか、もしも外れた時にどんな現象が起きるのかを把握しておきます。

 

それによっては、保全の目標値としては更に厳しい数値に設定しておく必要があるかも知れません。あるいは、極めて不安定な設定値であれば設計サイドへフィードバックする必要が出てくるかも知れません。

つまり保全の範囲で保証できない設定であれば設計から見直しが必要になる訳です。もっと出力の大きなモータに変えてもらうとか、ベルトの幅を広くしてもらうとか、そういった見直しです。

 

保全担当者としては、決められた点検項目をルーチン通りにこなす、それで全てうまく行けばこんな楽なことはありません。しかし、生産現場では日々、色んなトラブルが発生します。

その時、日頃どこまで突っ込んで保全の基準を考えているかによって、復旧までの時間が決まったり、設備の改善度合いが決まります。

 

考える

 

設備はかなりの頻度でトラブルを繰り返しているのに、保全マニュアル、点検マニュアルは旧態依然として変わらず。こんなケース、けっこうありますよね。

いくら点検してもトラブル発生を防ぐことが出来ない、同じ修理を何度も繰り返す、これは保全担当としては改善の余地大いにありです。

そもそもトラブルが発生しない、正常な状態を維持するためには、どんな条件が必要なのか、正常な姿を担保するための根拠は何か、それを見直すことが必要です。

 

もしかしたら点検項目が不足しているかも知れないし、点検方法が間違っているかも知れません。

そして、その条件、設定がどの程度のマージンを持っているのか、そこまで確認しておきます。それが設備の安定稼働につながります。

冒頭に私が言った、「〇〇〇は、●●●によって保障されている。」これがスタートであり、ゴールです。

今回は私の体験から設備保全の考え方を記事にしてみました。