「未経験者でも設備保全やメンテナンスの仕事に転職出来ますか?」
こんな質問、相談をよく見かけます。異業種からの転職を目指す人が一番気になる点だと思います。未経験者が採用される可能性はどれほどあるのでしょうか。
ちなみにですが、私は20年ほど半導体工場で設備保全の責任者を担当していました。そして200人ほど保全要員の採用面接を行いましたが、未経験者の採用はゼロでした。経験者しか採用していません。
では世間一般、広く転職市場において未経験者の採用ハードルは高いのでしょうか。
今回は未経験者が設備保全やメンテナンスの仕事に転職出来る可能性について記事にしてみたいと思います。
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未経験者にとって厳しい現実
いきなりですが、転職市場において実態は完全に経験者優遇であって、未経験者は応募することすら難しいのが現状です。
私が設備保全、メンテナンスの求人を200社ほど調べたところ、8割以上の求人で応募資格に実務経験を明記していました。
つまり、未経験者は求人全体の2割しか応募出来ないのです。
一方で、何からの専門資格を応募条件に挙げた求人は全体の約4割でした。(必須、歓迎合わせた件数)
無資格でも6割の求人に応募可能なのです。未経験者は2割しか応募出来ないのに無資格者は6割です。いかに未経験者に対するハードルが高いかお分かり頂けると思います。
なぜ未経験者は応募出来ないのか?
今さらではありますが、なぜ未経験者は応募出来ないのでしょうか。すなわち採用されないのでしょうか?
その最大の理由はキャリア採用の目的が即戦力の補充だからです。すでにキャリアを積んで、保全スキルを持っているエンジニアを即戦力として採用したいのです。
特に設備保全の場合、未経験者を採用してもすぐには戦力にならず、研修やトレーニングを行う必要があります。
保全内容にもよりますが、設備保全に必要な知識やスキルを身に着けるには短期間では無理です。2年や3年はかかります。
保全経験者とはえらい違いです。この差はとても大きく、一人前の戦力になるまでの時間や手間、教育費を考えると未経験者を避けて経験者を採用したくなるのは当然です。
未経験者が応募出来る求人の実状は?
しかし、設備保全の求人に「未経験者歓迎」案件が全くないかと言えば、そうでもありません。先程も説明したように、200社の2割、40社ほどは未経験者歓迎なのです。
それは次の2種類の求人です。
■未経験者でもすぐにやれる保全業務だから採用する
設備保全で求人検索すると、実に様々な求人が出てきます。中にはごく簡単な治工具レベルの保全も含まれています。
それは高度な技術も専門知識も必要としない保全業務です。
例えばマニュアル化された簡単な定期点検、部品交換、稼働チェックなどの仕事です。
あるいは、仕事の半分以上はマシンオペレーターで、自分の使う設備の簡単な点検を行うような仕事もあります。
いわゆる自主保全の仕事です。
こうした仕事は入社して1週間ほどトレーニングすると現場で働くことが可能です。つまり、未経験者でもすぐに戦力なる訳です。
それゆえ未経験者歓迎として募集しています。
この種の求人は派遣社員募集が多く、正社員の求人は少ないです。
実務経験も資格も不要であり、まずは保全経験の第一歩、経験を積むスタートとして応募するのはアリです。
技術レベルが高くなくても保全実績に違いありません。ここを足場に次ぎは正社員採用を目指すプランも十分可能性があります。
■経験者は採用出来ない。ならば未経験者を育てるしかない
企業としては実務経験豊富なエンジニアを採用したいのですが、現実には転職市場にそんな優秀なエンジニアがそうそういるはずもありません。
ならば未経験者を採用して戦力となるエンジニアに育てるしかない、と判断する企業もあるのです。
こうした企業が未経験者歓迎で求人を出しています。
求人票の中に、第二新卒や既卒者歓迎、とあるのも同じような理由からです。
特に中小企業にあってはエンジニア不足が深刻であり、未経験者歓迎案件の約8割は中小・中堅企業からの求人です。
ただし、未経験者歓迎と言っても無条件ではありません。将来エンジニアになれる資質、適性を持った人材に限られます。
設備保全の経験はなくても製造工場で勤務した経験はあるとか、品質管理や設計の経験があるなど、モノづくりに関わった経験があるとそれは評価されます。
あるいは理工系の出身で機械いじりが大好きとか、何でも修理するのが面白いとか、そういったタイプの人材が望まれます。
こうして未経験者を採用した企業では、基礎的な教育から始めて、ある程度基礎が分かったら現場で先輩エンジニアについてOJTとなります。
企業によって研修方法や期間は異なりますが、凡そ研修期間は3ヶ月~6ヶ月ほどが多いようです。
当然ですが、この種の求人は正社員限定です。中、長期的な人材教育を前提としているため派遣社員の採用はありません。
未経験で採用されると収入はどのくらい?
当然ですが、経験者の方が未経験者より優遇されます。同じ待遇、同じ収入と言うことはありません。
未経験者で応募するなら、最初は給料が安いことは覚悟すべきです。
では、いったい未経験者で採用されると収入はどのくらいでしょうか。
これは求人によって目安となる金額が違います。また、採用された人の年齢、保全要員としての適性、過去のキャリアなどによって金額が違ってきます。
しかし、未経験者募集の比較的多いリクナビNEXT、リクルートエージェント、キャリコネの給料を調べてみると3社ともほぼ同じ金額でした。
ズバリ、転職して入社した時の月給としては18万円~23万円といったところです。(残業などの手当て含まず)
諸手当、賞与などをコミにした年収ベースで言えば300万円~350万円になります。
これは未経験者歓迎求人を200件近く調べた結果であり、業種や職種、企業規模によらずほぼこの金額が提示されています。
むろん、これはあくまで目安の金額であって、中にはもっと多い年収、低い年収のケースもあります。
また、入社時の給料に差がなくても、その後の増え方は企業の規模、業種、職種などで差がつきます。むろん、実績評価による部分も大です。
これが保全経験者、有資格者の転職だと、年収で400万円~600万円辺りが目安となります。未経験者とはかなり差があります。
未経験者が採用されるには?
ではここからは具体的にあなたが未経験者の立場で設備保全の転職先を見つける方法を紹介していきます。
まず、未経験者が設備保全の求人に応募出来て、採用される可能性がある求人は先ほども説明した2通りのパターンです。
①保全業務の技術レベルが比較的低い求人
特別な資格やキャリアがなくても短期のトレーニングで保全現場に入れる。主に派遣社員の求人中心。
②未経験者でも育てて使う求人
即戦力が採用出来ない企業の人材育成戦略による採用。中長期的な教育プログラムによる育成を前提とし、適性や資質を満たす未経験者を正社員限定として採用する。
この2つの求人パターンを探す必要があります。では、具体的にはどうやって探せばいいのか?
求人票を1つ1つ見て探せばいいのですが、それは非常に効率が悪いです。仮にあなたが設備保全の未経験者であっても、なるべくあなたのこれまでのキャリアを活かせる求人を探す必要があります。
それには求人企業の実情をよく知り、あなたのキャリアを理解した上でマッチングする必要があります。この作業は非常に難しいです。
企業の情報を正確に仕入れること、自分のキャリア、実力を客観的に評価すること、いずれも容易ではありません。
そこで当サイトでは転職サイト、転職エージェントの利用をお奨めしています。業界情報や企業情報に精通した転職のプロがあなたの転職をサポートしてくれます。

未経験者でも応募出来る求人が多い転職サイト
マイナビエージェントやリクルートエージェントなどの転職エージェントサイトにおいて、設備保全、メンテナンスの求人で未経験者が応募出来る割合は全体の約2割程度しかありません。
未経験者は採用はおろか、応募さえ出来ないのです。多くの企業はキャリア採用に即戦力を求めており実務経験者を優遇しています。
ただし、保全レベルが比較的簡易であったり、未経験者の育成を前提とした求人においては、未経験者歓迎案件もあります。
こうした未経験者でも応募出来る求人が比較的多い転職サイトを4社紹介します。ただし、いずれも転職エージェントサービスはありません。求人を見つけ、応募から面接まで全てあなたがご自分で活動することになります。
サイトの活用法については当サイトの記事を参考にして下さい。