設備保全・メンテナンスとはいったいどんな仕事でしょうか?

すでに実務の経験があるあなたはお分かりでしょうが、異業種からの転職を考えているあなた、あるいはまだ設備保全の経験が浅いあなたはよく分かっていない疑問点もあるでしょう。

例えばこんな疑問です。

●設備保全の仕事の内容は?

●採用されるために必要な資格やキャリアは?

●性別や年齢の制限がある?学歴は?

●平均的な年収はどのくらい?

●どんな点が辛くて、どんな点が楽しい仕事?

●保全業務に向いてる人、向いてない人って?

●志望動機の書き方や面接の受け方は?

 

あなたがこれから設備保全やメンテナンスの仕事に転職を考えているなら、こうした疑問点についてある程度の知識と情報を持った上で転職活動を行うことが必要です。

 

当サイトでは転職活動に転職エージェントの活用をお奨めしていますが、それにしても事前の情報収集は不可欠です。転職エージェントに丸投げでは転職はうまく行きません。

 

あなたなりの考えに沿った方針を持つことが重要であり、それには設備保全についての知識と情報が必要なのです。

 

では、これからあなたの疑問や不安に1つずつ、分かり易く説明していきたいと思います。

ちなみに私は約20年間、半導体工場で設備保全の責任者をやっていました。私自身の体験も踏まえて設備保全、メンテナンスの仕事を分かり易く説明したいと思います。

 

設備保全・メンテナンスの業務内容

設備保全・メンテナンスとは、文字通り、設備の保全やメンテナンスをする仕事です。まず対象がどんな設備かと言えば、それこそあらゆる設備です。

およそ何かの目的で稼働している設備には保全業務が必ず発生します。

 

保全が必要な設備としてすぐにイメージ出来るのは半導体や自動車、家電や精密機器などの量産工場で商品を製造するための設備でしょう。

例えばテレビのニュースなどで自動車工場の内部が映ると、組立てロボットや溶接ロボットが沢山稼働していますよね。むろん、ああしたロボットもメンテナンスが不可欠です。

設備保全にあまり詳しくないあなたも、これらの設備なら真っ先に思い浮かべることでしょう。

 

真空装置

 

しかし、保全対象の設備はこうした製造業だけに限定されたものではありません。

例えば、発電所や変電所にも設備保全の需要はあるし、大型商用施設や高層ビル、テーマパークのような場所にも保全対象の設備は多数存在します。

 

設備保全、メンテナンスの仕事はこうした設備が正常に稼働するよう日頃から点検したり、万一故障やトラブルで停止した場合にはすぐさま修理をする仕事です。

 

一般に、設備保全には次の3種類の保全業務があります。

予防保全・予知保全

予防保全とは設備を定期的に点検し、異常がないか確認したり消耗部品を交換したりする仕事です。つまり故障やトラブルを未然に防ぐための保全業務です。

 

また様々なセンサー、測定器、自己診断機能などを駆使して異常発生の兆候を事前に発見し、故障やトラブルを未然に防ぐことを予知保全と言います。現在では多くの設備にこの機能が入っています。

 

事後保全

故障やトラブルが発生してから修理やメンテナンスを行う保全業務です。出来るだけ避けたい保全ですが、予期せぬ原因で故障が発生することもあります。

 

改良保全

例えば過去に何度か故障したりトラブルを発生した設備について、設計レベルまで検討して改良を行う保全業務です。対処療法では何度修理しても再発します。これは根本から対策を行う保全業務です。

 

設備保全の仕事に必要な資格やキャリアは?

ひと口に設備保全、メンテナンスといってもその技術レベルは実に様々です。保全対象が簡単な治工具レベルであれば数日から数週間の研修、トレーニングで保全業務が可能です。

 

こうした比較的簡易な保全業務には専門知識や高度な保全スキルを必要としません。資格も不要だし保全キャリアも特に必要としません。未経験者でも可能な保全作業です。

もしもあなたが保全業務未経験から転職を希望するなら、まずはこうしたレベルの保全業務がねらい目となります。

 

一方、高精度、高機能の設備であれば専門知識や高度な保全スキルを必要とします。つまり実務経験者でないと出来ない保全です。また専門資格を保有していないと保全業務が出来ない設備もあります。

 

例えば電気主任技術者などの必置資格、電気工事士などの業務独占資格は設備保全、メンテナンス職には重要な資格となります。

 

資格をとる

 

従って、求人を出す企業は求人票の中で必要とする資格、スキル、キャリアを明記しています。ただ、資格は分かり易いのですがスキルとキャリアは自分が応募条件に該当するのかどうか、判断が難しい場合もあります。

 

転職活動に必要な資格とキャリアについてはこちらの記事を参考にして下さい。

『設備保全に求められる資格を200社大調査!』

『未経験者でも設備保全・メンテナンス職への転職は可能か?』

 

設備保全の予定年収はどのくらい?

同業種からの転職、異業種からの転職に関わらず、転職後の収入がどのくらいなのか、それは大きな関心事だと思います。転職先を決めるのに考慮すべき最大要因かも知れません。

 

しかし、実際問題として設備保全に限らずキャリア採用の予定年収はかなり幅があり一概には言えません。実際の求人で、「300万円~800万円」といった例もあります。

 

あるいは具体的な金額提示をせずに、「年齢、経験、能力を考慮のうえ、当社規定により決定」といった提示も多く見られます。つまり、一概には言えないと言う訳です。

 

予定年収は年齢、キャリア、保有資格、専門スキル、管理能力、コミュニケーション能力など、様々な能力、評価基準によって変わります。

ここがキャリア採用と新卒採用の違う点です。新卒採用の場合、初任給は事前に決定済みで金額が分かっています。

 

しかし、あえて設備保全・メンテナンス職の平均的な予定年収の金額を紹介しましょう。

私がdodaの設備保全求人(正社員募集)52社の予定年収を調べたところ、以下の金額であることが分かりました。(2020年9月)

●平均年収 479万9898円

ただしこの金額はあくまで目安として見て下さい。

給料袋

 

設備保全・メンテナンスの仕事に向いてる人・向いてない人

どんな仕事にもその人の性格やものの考え方で向き、不向きはあります。では設備保全やメンテナンスの場合、向き、不向きはどんな性格でしょう。

 

求人企業はこんな適性・志向を求めている

私は複数の転職サイトを使って、求人企業が設備保全やメンテナンスの求人どのような適性を求めているか50社ほど調べてみました。

すると、各社でほぼ同じような要求が繰り返し出てくることが分かりました。その上位3つは以下のような適性でした。

 

①機械いじりが好きな人

②モノづくりに興味のある人

③小さな変化に気がつける人

 

確かに私が20年間、半導体工場の設備保全の責任者をやってきて必要だと思う適性です。

この3つの適性を満たす人が設備保全、メンテナンスの仕事に向いてる人と言えます。逆にこの3つがダメな人は設備保全の仕事にはあまり向いてない人です。

 

ただし、モノづくりに興味はあるけど手先が不器用で機械いじりは得意じゃない、と言った人も現実にはいます。こんな人は現場の機械いじりでない仕事で能力を発揮する道もあります。

 

それから企業が求める設備保全職の適性は、この3点だけではありません。もっと他にも要求されている適性があります。それについては別の記事で更に詳しく解説したいと思います。

『設備保全・メンテナンスの仕事に向いてる人・向いてない人』

 

年齢・性別・学歴に制限がある?

設備保全やメンテナンスの仕事に、年齢や性別、学歴での制限があるでしょうか?

 

●年齢制限は?

あなたもご存知かも知れませんが、日本には雇用対策法と言う法律があり、特別な事情がない限り募集条件に年齢制限を付けることは許されません。(条件付きで認められることもアリ)

従って、あなたが色んな設備保全の求人を見ても、年齢制限は記載されていないはずです。加えて性別も採用条件には出来ないことになっています。男性でも女性でも同じように扱わなくてはなりません。

 

しかし、これはもう言うまでもなく表向き、建前にしか過ぎません。年齢が理由で書類選考で振るいにかけられ、面接までも行けないケースはごく普通に起こっています。

中高年の再就職、転職は非常に厳しいのです。よほど高度な専門知識やスキルがあって、なおかつ企業がそれを必要としているケースでのみ転職は可能となります。

一般に転職可能な年齢は35歳まで、と言うのが転職相場でしょう。

 

ただし、年齢が問題になるのは正社員採用の場合であって、派遣社員や有期社員の場合はその限りではありません。あなたの選択肢に正社員採用以外も含まれるなら、採用される可能性はぐっと広がります。

 

●性別の制限はあるのか?(女性でも採用されるのか?)

性別も先ほど説明した通り、男女は平等に扱うと言うのが表向きです。

しかし大手転職サイトdodaの職業図鑑を見ると、「整備士/サービスエンジニア」における女性の転職者の割合は2%しかありません。たったの2%です。

 

女性設備保全士

 

ここでもう1つデータを紹介しておきます。政府統計の窓口「e-Stat」に2017年の職業別就業人口が掲載されています。

この中に「機械整備・修理従事者」と言う項目があります。設備保全、メンテナンスもここに含まれていると思われます。

その就業人口が以下の通りです。

●男性 112万人(97.4%)

●女性  3万人(2.6%)

 

先ほどのdodaのデータは転職者の比率でしたが、こちらは就業者の比率です。女性の就業者比率が2.6%で転職者比率が2%です。

この2つの数字を見ると女性が設備保全やメンテナンスの仕事に就くのは非常に難しいように見えます。事実採用へのハードルは高いと思います。

 

ただ、元々女性の応募者そのものが少ないと言う背景もあります。女性で設備保全やメンテナンス職を希望する人はそう多くいません。

私は20年間、半導体工場で保全要員の採用面接を200名ほど行いましたが、女性の応募者は皆無でした。

 

保全現場では油まみれになることもあるし、力仕事もあります。場合によっては危険な仕事もあるし、女性に人気の職場とは言えません。

むろん、女性でも十分活躍出来る職場もあります。先の2%の転職、2.6%の就業はそんな職場でしょう。

 

もしもあなたが女性設備保全士を目指しているなら、それは絶対不可能な話ではありません。ただ転職先の選択肢はかなり狭いと覚悟しておく必要があります。

 

●学歴による制限はあるのか?

設備保全やメンテナンスの求人に学歴制限はあるのでしょうか?

その疑問を解決するため、dodaに掲載された「設備保全」の求人144社を調べてみました。いったいどんな学歴を必要としているのでしょうか。

その結果がこのグラフです。

設備保全の学歴
設備保全に要求される学歴(DODA 2018年1月調べ)

グラフからお分かりの通り、学歴不問とする企業が全体の6割強です。高卒以上を加えると約8割の企業に達します。

あなたが高校を卒業していれば凡そ8割の設備保全の求人に応募することが可能となります。ちなみに文部科学省によると、現在日本では高校進学率は97%以上だそうです。

 

ただし、中には専攻科目を指定したり、大学院卒を応募条件にした求人もあります。これらの求人は設備保全の対象が極めて高度なケースがほとんどで、かなり勉強しないと保全業務が出来ないのです。

その勉強をする為に専攻科目が必要であったり大学院卒レベルが必要だったりする訳です。

 

こうした求人では、必ずしも条件を満たしてなくても応募出来る可能性があります。これまでのキャリアで必要な知識やスキルを持っていれば応募可能、採用の可能性もあります。

ダメもとで採用担当者に自分のキャリアを伝えて相談するのがいいと思います。

 

まとめ

ここでは設備保全・メンテナンスと言う仕事が、どんな仕事なのか次の4つの観点から説明しました。

①仕事の内容

②転職した場合の予定年収

③設備保全に向いてる人・向いてない人

④設備保全の仕事に必要な資格とキャリア

 

設備保全やメンテナンス未経験のあなたに分かりやすく説明した積りです。また異業種から転職を希望するあなたにも設備保全のイメージが湧くよう説明した積りです。

 

設備保全やメンテナンスはどちらかと言えば裏方仕事で表に出ることが少ない仕事です。自分で仕事の遣り甲斐や喜びを見つけないと続かない仕事でもあります。

その意味で向き・不向きがハッキリした仕事であると言えます。