あなたが現在、設備保全の仕事をやっていて、将来的には設備設計の仕事をやりたいと希望していたとしたら。あなたはどうすれば願いが叶うでしょうか。

それも過去に一度も設計の仕事をやったことがない、でもやってみたい。そんな場合はどうすればいいのでしょうか。

 

どんなに保全を極めても設計者にはなれない

まず言えることは、設備保全の仕事をしながら設計の道を目指すことは非常に難しいと言うことです。同じ設備に関する仕事とは言え、設計と保全はまるで違います。

保全のキャリをいくら積んでも設計が出来るようにはなりません。例えあなたがどんなに優秀な保全要員であってもです。

 

ここでちょっと私の経験をお話しましょう。

私が長年、半導体工場で設備担当の責任者をやっていると、若い保全担当の中には、

「私は将来的には設備設計の仕事をやってみたいです。」

と希望を言う人が少なからずいました。

それは20代だけでなく、30代の保全担当にもいました。彼らがどうして設計の仕事をやりたいのか、その理由は色々です。

 

自分が頭の中で考えたものが部品となり、設備となる、つまり無から有を生み出す魅力に惹かれたと言う人もいました。あるいは設計の方が保全より給料が高いと思っている人もいて、もっと稼ぎたいからと言う理由もあったようです。(収入面の比較については後ほど具体的な金額データを紹介します。)

 

どんな理由にせよ、本気で設計の仕事をやってみたいと希望する人にはチャンスを与えました。保全から社内の設計部門へ移籍させたのです。冒頭にも書いたように、設計をやりたいなら保全にいては無理です。

 

早い話、設計を覚えるには設計を専門にやっている職場に身を置き、上級者からの指導を受けなければなりません。設計ツールの整った環境も必要です。

設備の保全を担当する職場にそうした設計機能、環境が整っていれば設計を学ぶことも出来ますが、普通はそこまでは整っていないでしょう。

 

仮にそうした環境があったとしても、業務的には保全から離れて設計に専念する必要があります。従って組織としては設計部門への移籍が必要になります。

私が勤務していた半導体工場では、私自身が設備保全も設備設計も両方の責任者を兼ねていたので移籍はスムーズに行うことが出来ました。

 

保全から設計への転職には年齢の壁がある

何度も言いますが、保全業務をやりながら機械設計を学び、設計者を目指すことはまず無理です。保全の技術、ノウハウがそのまま設計につながる訳ではありません。

保全のキャリアとは別に、設計の基礎から学び、実践の中で1つ1つ覚えていくことになります。当然一人前になるには時間がかかります。

 

そうした現実があるので、私の場合は保全から設計へ転向させる場合にはどうしても年齢を考慮しました。ハッキリ言って20代前半までですね。ギリギリ、30歳前まで。

30歳超えて一から設計を学ぶと言うのは、まず普通はやらせません。

 

むろん、設計業務への適性や潜在能力は個々に違うでしょう。一概に年齢だけでやれるか、やれないか決めることは出来ません。

何より本人に設計がやりたいと言う強い意志があれば道は拓ける可能性はあります。

しかし、一般論で言えば若い柔軟性のある若い年代に設計を学び、実践することが設計者への道だろうと思います。

 

では、私が勤務していた半導体工場以外、世の中の設計者募集の求人ではどうでしょう。特に年齢制限はないのでしょうか。

実際の求人を見ると、表立っての年齢制限は雇用対策法に抵触するのでありません。応募は何歳でもどうぞ、門戸は開かれています、といった求人です。

 

しかし、現実には設計業務が全く未経験で、30歳を超えた応募者が採用される可能性は低いと思います。設計以外のキャリアですごいポテンシャルの高さをアピール出来れば採用されるかも知れませんが。

 

求人の中には、ハッキリ30歳未満、あるいは35歳未満と条件を付けた求人も見られます。これは雇用対策法の例外事由によるもので、

『長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合』

に該当するケースです。

私に言わせれば、こうして明確に条件を書いてくれた方が親切で誠意があると思います。本当は頭から採用する気もないくせに、「年齢不問」とする求人の何と多いことでしょう。

 

あなたが今は設備保全の仕事をしていて、これから設計の仕事に転職したいと思うなら、ご自分の年齢をまずは考えて下さい。20代であれば、まだ採用される可能性はあります。

しかし、30歳を超えていれば、非常に狭き門であり難しい現実があると覚悟して下さい。しかし、可能性が全くゼロではありません。

世の中には30歳を超えてから設計者として成功した人もいるに違いありません。

 

設計の未経験者でも転職可能か?

年齢の壁と同時に、キャリアの壁もあります。あなたが現在設備保全の仕事をしていて、設計については全くの未経験でも設計の仕事に転職可能でしょうか。

実際、設計者募集の求人を見ると、多くの場合「これまでに設計業務の経験があること」と言う応募条件が出てきます。

 

しかし、中には直接設計業務の経験はなくても、生産技術や設備保全、品質管理などの経験があれば応募可とする求人もあります。

この条件なら、現在あなたが設備保全をしていれば条件クリアです。

 

更に、設計者募集の求人には「全くの未経験者でも応募可能」とする求人もあります。経験については一切不問、応募可能とするものです。

ただし、これらの「設計の実務経験がなくても応募出来ます」とする求人にも、必ず「設計経験者歓迎」と書かれています。ほぼ例外なくそう書かれています。

つまり、求人を出している企業のホンネとしては、出来れば未経験者ではなくて、経験者に応募して欲しい訳です。

まぁ、当然ですね。新卒ではない中途採用の場合、未経験者を採用するメリットはありません。あくまで中途採用の目的は設計の実務経験者を即戦力として補充することです。

 

従って、いくら「未経験者歓迎」と求人に書かれてあっても、経験者が多数応募してくれば未経験者が不利なのは明白です。採用担当者は、まずは経験者の中から合格者はいないか検討することでしょう。

 

設計業務の経験のないあなたが採用されるには、先ほど説明した「設計業務の経験はなくても保全や生産技術の経験がある方歓迎」の求人がねらい目です。この条件の求人ならまだ採用の可能性が高いと思います。

 

機械設計の収入はどのくらいか?

では、設備保全の担当者が設計者を目指す理由の1つである収入面のメリットは本当でしょうか。保全業務よりも設計の方が給料は多いのでしょうか。

これも当然ですが高給取りの保全担当もいれば、安い給料の設計者もいます。一概には言えません。しかし調査の母数を大きくとって、一般的には、と言う条件を付ければある程度のことは分かります。

 

DODAがエージェントサービスに登録している20歳~59歳までの29万人について職種ごとに年収を調査しています。

そのデータによると、設備保全、機械設計の平均年収は以下の通りです。

 

比較保全と設計

 

DODAデータでは確かに設備保全より設計の方が年収で40万円以上高くなっています。金額の絶対値はともかく、設備保全と設計の年収比較ではこのDODAのデータ以外でも設計の方が高くなっています。

むろん、設備保全といっても高いスキル、専門知識を要する高給職もあります。反対に、設計と言っても部分設計レベルだとそう高給は望めないかも知れません。一概には言えません。

 

ただ言えるのは、お金だけを目的に設備保全から設計へ転職を狙っても難しいと言うことです。どんな仕事でも一人前になるには時間もかかるし、努力も必要です。

本当に設計と言う仕事が好きで、やりたいと言う決意がないと続きません。すぐに挫折してあきらめてしまいます。そんな人を何人も見て来ました。

 

せっかく本人の希望を叶えて保全から設計部門へ移籍させてやったのに、「こんなはずじゃ・・・」とばかりに辞めてしまった人もいます。

お金は後から結果としてついてくるものです。まずはあなたが設計の仕事に向いているのか、本気でやりたいと思っているのか、そこが肝心です。

 

まとめ

あなたが設備保全の仕事から、機械設計の仕事に転職したいと思うなら、年齢とキャリアの2つの壁があります。

●設計者募集の多くは「設計経験があること」が応募条件です。未経験者は応募出来ない求人が多数です。

●中には「未経験者歓迎」案件もあり応募は出来ますが、そんな場合でも「経験者はなお歓迎」です。

●設計の経験がなくても、保全や生産技術の経験があればOKとする求人もあり、これがねらい目。

●ほとんどの設計者募集案件は雇用対策法に沿って年齢制限がありません。何歳でも応募可能です。

●しかし、現実には未経験者の場合、30歳を超えての転職は難しいと思います。

●設備保全と設備設計の平均年収を比較すると、設計の方が高いとするデータがほとんどです。

●しかし、年収金額だけを目当てに転職を図ろうとしてもうまく行かないと思います。

●設計と言う仕事への熱意、適性がないと続きません。

 

あなたが設備保全から設計への転職を目指すなら、まずは収入面に目をつぶって、設計を学べる場所を探すことです。設計者として必要な知識、技術は大変幅広く、習得には時間がかかります。

しっかりした指導者がいて、設計ツールの整った環境を見つけること、これが全てだと思います。