あなたが設備保全の転職を決意し、いよいよ今の会社を退職する時、絶対に辞め方を間違えないで下さい。

次の転職先が見つかってから退職する場合もあるでしょうし、決まる前に退職することがあるでしょう。いずれにしても円満退社、あとを濁さず退職することが何より大事です。

ここでは私の体験を2件、お話しましょう。

 

円満退社の必要性を感じる話

今からもう10数年前のお話です。完全に時効だと思うので公開します。

ある日、私に取引先の製造部長さんから電話がありました。

 

「首藤さん、ちょっと内緒の話を教えてくれないか。」

 

いきなりこんな切り出しの話でした。

 

電話

 

その製造部長さんのお話はこんな内容でした。

・その部長さんの製造ラインで設備保全の要員が足りなくて、現在求人を出している。

・そこにAと言う応募があり、人事の方では書類選考、面接を経て採用の方向で検討している。

・人事から現場責任者の製造部長さんの方へAの書類が回って最終決断のタイミングになっている。

・Aの履歴書を見ると、私の会社に半年勤務したと記載されている。

・Aがわずか半年で辞めたのはなぜか?何か問題でもあったのか?

・Aの個人情報を表立っては聞けないが、出来れば個人的な付き合いに免じて事情を教えてもらえないか。

こんなお電話だったのです。

 

当然、表立って教えることの出来ない内容です。完全な個人情報の流出です。

しかし、私は製造部長さんへ即答しました。

 

「採用は見送った方がいいですよ。」

 

それから約15分ほど電話でやり取りがあり、最後に製造部長さんは私に言いました。

 

「貴重な情報ありがとう。後はこちらでよく検討してみます。」

 

そう言って電話を切りました。

 

結果、Aの採用は見送られたそうです。

なぜ私が製造部長さんに採用を見送った方がいいと進言したのか。それはAの退社が余りにひどかったからです。

 

Aは設備設計、保全要員として私の会社に中途採用されました。面接のときはえらいヤル気満々、前向きで好印象でした。

ところが、入社して3ヵ月もすると給与や待遇の不満を連発するようになりました。入社前に十分説明して納得済みだったはずの話ばかりです。

 

あ~、これはもう長続きしないなと思っていると、案の定半年もしない内に辞表を持ってきました。むろん、こちらも引き留めませんでした。

 

辞めるのは仕方ないのですが、問題はその辞め方です。すぐに引き継ぎに入るよう指示したのですが、これがひどい。いい加減極まりないのです。

 

Aの仕事はわずか半年でしたがそれなりに顧客のついた仕事もやっています。Aがいなくなった後の後任者に資料を引き渡し説明しておくよう言ったのですが、ずさんな引継ぎしかしませんでした。

 

いくら注意しても完全に無視です。どうせ辞める会社だから指示に従う必要がない、あからさまにそんな態度でした。

 

ストレス

 

とうとう、終いには上司である私と口もきかなくなりました。こちから挨拶しても返事もなく無視です。そのままAは辞めていきました。

 

Aの後を引き継いだ担当者は少し苦労したようですが、何とかお客に迷惑をかけずに済みました。

それから数週間後の製造部長さんからの電話だったのです。

 

製造部長さんの会社は大企業であり、私の勤務していた会社より給料も多いし、待遇もよかったでしょう。Aにしてみたら願ったり、叶ったりの転職だったはずです。

 

しかし、その会社は私の会社と同じ県にあり、同業です。当然交流もあるし、何より我が社のお得意様でした。製造部長さんが私に電話してきたのも不思議ではありません。

 

もしもAが私の会社を辞めるとき、キチンと引き継ぎを行い、迷惑をかけない配慮をしていたら。私はきっと製造部長さんに全く違う返答をしていたでしょう。場合によっては推薦していたかも知れません。

 

人間関係

 

どうせ辞めていく会社だからどんな辞め方をしても構わないと思ったら大間違いです。今回のAのような極端なケースは起きないにしても、案外世間は狭いものです。どこから話がつながるか分かりません。

 

退職にあたって好印象を残すことは難しいでしょうが、少なくともやるべき引き継ぎだけはしっかりやることです。後を濁した辞め方は結局我が身に降りかかって来るのです。

 

せこい辞め方はいかがなものか

もう一人、Bと言う社員の辞め方も問題でした。彼はとても優秀で将来の幹部候補でもありました。そんな彼が設備保全のある資格を取りたいと言ってきました。私としては前向きな希望だったので稟議書を起こして決済をもらいました。

 

資格をとる

 

Bは数日間講習に通い、資格を取得しました。そして、その資格を取得して1ヵ月もしない内に辞表を持ってきました。これはもう寝耳に水もいいところです。あり得ない話です。

 

Bは今の仕事に生かしたいから資格を取りたいと申し出ていたのに、実際は転職に有利になるよう資格が欲しかったわけです。何ともせこい話ではありませんか。

 

Bは資格を取りたいと思った時には転職を考えていなかったと言い張りましたが、ミエミエのウソです。うちの会社を辞めてすぐに別の会社で設備保全の仕事に就きました。

 

こんな辞め方も決して褒められたものではありません。常識的に考えていかがなものかと思います。

 

そしてBの場合も不思議と世間の狭さを感じることが起きました。私がある工場の品質アドバイザーを引き受けたのですが、何とその工場にBがいたのです。

 

半導体量産工場

 

Bが別の会社に再就職したことは風の噂で聞いていましたが、まさかその工場だったとは驚きでした。さすがにBはバツが悪そうでした。それはそうでしょうね。

 

ただ、Bの勤務先から何か聞かれたこともなく、私からBのことを話すこともしませんでした。もし聞かれていてもBの辞め方を話すことはしなかったと思います。

 

資格取得は腹立たしいウソですが、それでも引継ぎだけはしっかりやってくれたからです。最低限のことはやってくれたので、まぁ許そうと思いました。

 

辞めた後も応援してくれるような辞め方を

私は20年間に渡って設備保全要員の採用にかかわってきました。同時にまた多くの辞表を受け取り、部下の退職にもかかわりました。

 

私は基本的に退職希望者に対して引き留めはしません。いったん退職希望を口にした社員は、一時期的に引き留めてもやがて辞めていきます。それを何度も経験して分かっているからです。

 

なので引き留めはしない代わりに後任への引き継ぎだけはしっかりやるよう要求していました。お客様に迷惑をかけないことが最優先です。

 

ただ、会社を辞めて去っていく人間と、残って仕事を続ける人間が全く同じ立場になれるはずがありません。それは致し方ないことです。

 

それだけにこちらの事情に配慮して引き継ぎをしっかりやってくれる社員に対しては感謝の気持ちでいっぱいになります。その社員の退職後の応援をしたくもなります。

 

数は少ないですが、そんな辞め方をした社員が数人いて、事実退職後に何かとフォローしたこともありました。

 

応援

 

あなたもどうせ退職するのなら、辞めた後も前の会社から応援してもらえるような、そんな辞め方をして欲しいと思います。

 

自分の都合、利益だけを考えるのではなく去っていく会社への配慮も必要です。それは社会人としての常識であり、回り回ってあなたの身に降りかかることもあります。

 

くれぐれもどうせ辞める会社だからと、辞め方を間違えないで下さいね。