機械保全技能士は設備保全、メンテナンスの技能を証明する国家資格です。

名称独占資格であり、保全エンジニアが自分のスキルアップの為に受検する資格と言えます。

 

ここでは機械保全技能士がどんな資格なのか、受検方法、試験問題、難易度などを解説すると同時に勉強法についても紹介します。

 

更にこの資格を取得することでどんなメリットがあるのか、そこも解説したいと思います。これから資格取得を考えているあなたにぜひ最後まで読んで頂きたい記事です。

 

機械保全技能士検定の概要

平成30年度の実績を見ると、機械保全技能士検定を受検した人の総数は34,066人でした。

そのうち2級以上に合格した人は5,680人だけでした。(『平成30年度 機械保全技能検定試験結果情報』

 

学科と実技を同時に受けて、一発で合格した人に限ってみると合格率はこんな感じです。

 

●1級合格率 12.4%

●2級合格率 18.0%

 

この数字からお分かりのように、少なくとも2級以上はそう簡単に合格出来るような試験ではありません。それなりに勉強して準備しないと合格は難しいです。

 

では、機械保全技能士の資格がどんなものか、その概要から説明したいと思います。

 

【資格名】

●機械保全技能士

 

【どんな資格か】

●メンテナンスの技能を証明する国家資格であり、名称独占資格です。

●機械系保全作業、電気系保全作業、設備診断作業の3種類の区分があります。

●資格等級は三級から特級まであります。

 

【受験資格】

●以下の詳細説明参照下さい。

 

【受験方法】

●願書受付

4月上旬~中旬

10月上旬~中旬

 

●学科試験

7月下旬~9月上旬

1月下旬~2月上旬

 

●実技試験

6月上旬~9月中旬

12月上旬~2月下旬

 

●試験場

各都道府県に指定された会場

 

●受験料

学科のみ 4,000円

実技のみ 15,400円

学科・実技両方受検 19,400円

 

不合格の場合でも学科、実技、どちらか合格すれば次回から免除されます。

 

【合格率】

●以下の詳細説明参照下さい。

 

【資格のメリット】

●機械保全技能士を名乗ることが出来ます。名称独占資格なので、合格者しか名乗ることは出来ません。

●あなたのメンテナンス技能が国家資格によって公証されます。転職に際して有利になります。

●メンテナンスの基本的な技能を学習することで、エンジニアとしてレベルアップ出来ます。

 

機械保全技能士の詳細情報

◇受験資格は?

【三級機械保全技能士】

実務の経験問わず。あなたが設備保全の初心者であっても受験することが可能です。

レベルとしては初級エンジニアが保有すべき技能と言えます。

新入社員が勉強する目標にするのもありです。

 

【二級機械保全技能士】

あなたが実務経験のみで受験する場合は2年間必要です。しかし、大学・短大・高専などを卒業していると実務経験が2年なくても受験資格があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

『技能検定の受検に必要な実務経験年数一覧』

 

レベルとしては中級の保全エンジニアが通常保有しておくべき技能レベルです。分かり易く言えば、たいていの修理や点検は自己完結できるレベルです。

 

【一級機械保全技能士】

7年以上の実務経験、または二級合格後2年以上の実務経験が必要です。しかし、二級同様、学歴によって実務経験が短縮されます。

レベルとしては上級技能者であり、製造部門や保全部門のリーダーが保有すべき技能です。メンバーの指導やアドバイスが出来るレベルとも言えます。

 

【特級機械保全技能士】

一級合格後5年以上の実務経験が必要です。特級は学歴による受験資格の年数短縮はありません。

管理職、マネージャークラスの技能です。ただ、私の経験では特級の資格保有者にはお目にかかったことがありません。

 

◇検定にはどんな試験問題が出るか?

機械保全技能士の検定試験にどんな問題が出題されるのか、過去の問題とその正解がこちらのサイトで確認できます。

『過去の試験問題』

 

これは公益社団法人日本プラントメンテナンス協会のサイトです。この協会は職業能力開発促進法に基づく指定機関であり、検定試験の実施機関でもあります。

 

機械保全技能士の機械系保全作業二級の問題を見てみると、それほど専門的に深く掘り下げた問題は出題されていません。ただし、非常に広範囲に渡って保全に必要な知識を身に着けているか問われます。

 

例えば潤滑油の判定、駆動系トラブルの原因判定、正しい対処法などが出題されています。かと思えば、油圧回路図やウォーム減速機の組立図の問題が出題されたりします。

 

日頃の実務の中でしっかり正確な知識を身に着けておかないと、いくら試験場で考えても正解が出てきません。過去の問題をしっかり研究すると同時に、各問題の周辺知識まで抑えておく必要があります。

 

なお、電気系保全作業の実技試験では工具や測定器を使って実際に回路の組立作業をやったり修復作業を行います。過去の問題を参照して下さい。

 

◇機械保全技能士検定の難易度は?

機械保全技能士検定の過去の合格率は公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が公開しています。

『平成30年度 機械保全技能検定試験結果情報』

ここではそのデータの中から、学科試験と実技試験の両方を受験した人の合格率を紹介しましょう。

片方だけの受験結果については上記公開データを直接ご覧下さい。

 

【表1.全作業】

等級 受験数 合格率
特級 441 21.3%
一級 6,090 12.4%
二級 10,089 18.0%
三級 6,029 47.7%

 

機械保全技能士検定の機械系、電気系、設備診断の3つの作業を合計した合格率は表1の通りです。二級の合格率は18.0%です。

 

1つ1つの問題はそれほど難しくないのですが、何しろ広範囲に出題されるので自分の詳しい分野だけの知識で試験を受けても合格出来ません。

 

合格ラインの目安は、学科が100点満点で65点以上、実技が60点以上です。

 

【表2.機械系保全作業】

等級 受験数 合格率
特級
一級 5,270 12.8%
二級 8,622 16.2%
三級 5,320 48.3%

 

機械系保全作業の受験者が最も多く、受験者全体の81.4%を占めています。

普通に考えて工場の設備保全ならこの機械系保全作業が最も頻度の多い作業だと思います。それが81.4%と言う数字になって表れているのでしょう。

 

ノギスと図面

 

あなたがこれから設備保全の転職を考えているのなら、まずは機械系保全作業の二級から狙ってみるのがいいと思います。すでに二級を持っているあなたは一級を目指して下さい。

なお、理由は分かりませんが特級についてはデータが公開されていません。

 

【表3.電気系保全作業】

等級 受験数 合格率
特級
一級 642 8.9%
二級 1,359 29.3%
三級 709 43.2%

 

電気系保全作業には全体の15.0%の受験者がいました。

過去の試験問題を見てみると、やはり電気回りの保全を中心に実務をやっている人でないと、難しそうな問題が並んでいます。

電気系の保全要素が多い設備の保全担当者向けの資格と言えます。

 

基盤

 

合格には現場の作業から得る知識だけでなく、過去の問題研究の中でしっかり座学によって周辺知識まで抑えておく必要があります。

 

過去の問題から何度も実際に制作の練習を繰り返しておくことだと思います。制限時間を意識しながら時間配分のペースを覚えておくといいですね。

 

【表4.設備診断作業】

等級 受験数 合格率
特級
一級 178 15.7%
二級 108 19.4%

 

設備診断作業の受験者は全体のわずか3.6%です。最も受験数が少ない作業です。

設備診断作業とは、設備の異常を見つける方法や手段を知っており、その原因を明らかにして対策を行う作業を言います。従って試験もそうした作業に必要な知識があるかどうかを問うものです。

 

 

設備保全の観点からすると、全てあなたが自分で修理できなくても他の保全担当者に正しい指示が出来ればいいわけです。

まずは設備が正常か異常か、診断できる知識、技能を持っているかを試す検定試験です。

 

機械保全技能士検定の試験勉強はどうやる?

私自身の体験も交えて、ネットで公開されている合格者の体験からいくつか勉強法を紹介したいと思います。

 

◇過去の試験問題から学ぶ

どんな勉強法をやるにしても、絶対に外せないのが過去の試験問題から学ぶ方法です。全く同じ問題が出る訳ではありませんが、毎年似たような問題が出ています。

 

問題と答えを覚えるような勉強法ではダメですが、解き方を覚えておくことは必要です。出題の周辺を抑えて理解しておくべきです。

 

色々な問題集が出版されているので、あなたが使い易いと思うものを1冊選んで使ってみて下さい。あれこれ使うより、1冊を徹底的に使い込んだ方が効果が出ます。

 

 

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またどんな試験でも同じですが、答えを導き出すのに必要な知識は暗記するしかありません。

 

暗記が苦手な人も多いと思いますが、私の場合はカードを作って反復あるのみ、と言う方法でした。いつでも、どこでもカードを取り出しては反復記憶やっていました。

この方法は単純ですが、私にはもっとも効果的な方法でした。

 

◇通信教育を利用する

私はJTEXの通信教育を利用したことがあります。一人ではなかなか勉強のペースが作れませんが、その点通信教育を利用すると便利です。

 

学習しては問題解答をして提出、添削指導を受ける、と言うサイクルが自然と身に着いて意思の弱い私も挫折せずに勉強を続けることが出来ました。

 

また、学習カリキュラムが確立されているので、必要な知識を体系的に、計画的に学ぶことが出来ます。これだけ学習しておけば合格出来る、と言う目安がハッキリするので目標設定が容易です。

 

技術系の通信教育で実績40年、利用企業40,000社以上、受講者200万人以上!

■JTEXの『機械保全技能士』通信教育


●受講料 ¥29,700
●教材
・主テキスト6冊 ・別冊「問題と解答・解説例」
・別冊「関連規格」 ・レポート(提出回数6回)
・質問券

■JTEXの『機械保全技能士』通信教育

 

 

◇職場で勉強会を開く

『資格を取得するための3つの勉強方法』と言う記事の中でも紹介した勉強法です。私の場合は2級半導体製品製造技能士検定の時に社内で勉強会があり、参加しました。

 

何しろお金がかからないし、資格保有者から丁寧に教えてもらうことが出来ます。同じ受検仲間と一緒に学べるので意思が弱くても挫折せずに済みます。

やはり一人で勉強を続けるのはよほど意思が強く、モチベーションを高く維持してないと難しいです。

 

ただし、一人で勉強会は開けません。複数の受検者がいて、出来れば資格保有者の先生がいて欲しいところです。先生役になった人はご苦労様ですが、これは毎年持ち回りでお願い出来ればいいですね。

 

最悪、先生役がいなくても受検仲間同士で勉強会を開くのも効果アリです。誰かが先生役になって問題を出し、それを皆で答えるといった形式ですね。

 

あるいは、過去問で自分がよく分からない、解けないものがあればそれを出し合って他のメンバーに教えてもらうのも効果的です。

 

まとめ

機械保全技能士と言う資格は保全エンジニア、メンテナンス担当者が自分のスキルアップの為に取得する資格です。

この資格を取ったからといって特別転職に有利になる訳ではありません。

ただし、活かし方によっては役に立ちます。

ぜひ、こちらの記事もお読み下さい。

 

『機械保全技能士の求人需要はたったの4.5%?|転職成功法とは?』

 

もっとも、機械保全技能士の受検の時に転職まで考える人はあまりいないでしょう。仮に転職の役立たなくても、資格を取得するメリットは大きいものがあります。

 

私自身の経験、あるいは他の資格取得者の話からも、難しい試験に合格することは自信になります。単に資格保有者になった、と言うだけでなくその後の仕事に必ず反映されます。

 

周囲からも、「さすが資格保有者は違う」と言った目でみられます。それがまた、次の高みを目指すモチベーションとなります。

 

エンジニアの技能に限界はありません。あなたのやる気次第でどこまでも極め続けることが出来ます。そのスタート、最初の一歩として機械保全技能士の2級辺りを受検することは大変意義深いと言えます。