あなたが機械保全技能士の資格を持っていて、いざその資格を活かして転職しようとすると、これがなかなか思うようにいかないことがあります。

 

なぜなら、機械保全技能士は他の技術系の資格に比べて圧倒的に求人件数が少ないからです。その為、あなたが希望する求人はそう簡単には見つかりません。

 

では、あなたの転職を成功させるにはどうすればいいのか?

 

その答は、機械保全技能士と言う資格で求人を探すのではなく、機械保全技能士の能力で求人を探すことです。そうすれば多くの求人が見つかり、転職のチャンスも増えます。

以下、本文にて詳しく解説します。

 

 

こんなに機械保全技能士の求人は少ない!

機械保全技能士はれっきとした国家資格であり、難易度も3級はともかく2級より上はかなり難しいです。従って機械保全技能士の2級より上を持っている人はそうそういません。

 

例えば平成30年度の実績を見ると、機械保全技能士検定を受検した人の総数は34,066人でした。

そのうち2級以上に合格した人は5,680人だけでした。(『平成30年度 機械保全技能検定試験結果情報』

 

しかも学科、実技、両方を受検した人では1級の合格率が12.4%、2級の合格率は18.0%だったのです。(一発合格だった人です)このように機械保全技能士はそう簡単に取得出来る資格ではありません。

 

そんなに難しい資格なら、当然転職にも役に立つだろうと思いたいところですが、現実は全く違います。

 

まずはいかに機械保全技能士と言う資格に求人が少ないか、そのデータからご覧頂きましょう。現状認識を正確にして頂く為です。

 

他の資格との求人件数を比較する

まず、求人ボックスと言う転職会社のデータをご覧いただきます。

求人ボックスはdodaやマイナビ転職など、複数の転職会社の求人情報を集めて掲載するサイトです。

従ってより多くのデータから現状認識を行うことが出来ます。

 

その求人ボックスで、機械保全技能士と電気主任技術者、電気工事士の求人を検索して比較したのが下の図です。検索範囲は全国、時期は2020年4月です。

 

求人数比較

 

いかがでしょう。いかに機械保全技能士の求人が少ないかお分かり頂けると思います。電気工事士の1/42、電気主任技術者の1/14しか求人がありません。

 

上図では求人ボックスのデータを紹介しましたが、マイナビエージェント、リクルートエージェントなど、お馴染みの転職会社で調べてもほぼ同じ傾向です。

 

機械保全技能士の求人は他の技術系の資格に比べて求人件数が極めて少ないのです。

 

機械保全技能士の需要はたったの4.5%

もう1つ、機械保全技能士の求人がいかに少ないかデータをご覧頂きます。

先ほどと同じく求人ボックスからのデータです。

 

設備保全の求人の中で、機械保全技能士を必須、または歓迎条件に指定した求人がどのくらい存在するかを調べたデータです。

言わば、設備保全における機械保全技能士の需要を調べたデータと言えます。調査範囲は全国、調査時期は2020年4月です。

 

さて、機械保全技能士の需要はどの程度でしょうか。

 

機械保全技能士の需要

上図の通りの結果となりました。

設備保全の全求人件数が17,552件あり、そのうち機械保全技能士の資格を必須、歓迎する求人は794件でした。これは全体の4.5%に過ぎません。

 

つまり、設備保全における機械保全技能士の需要はわずか4.5%と言う訳です。

 

 

名称独占資格・必置資格・業務独占資格

では、どうして機械保全技能士の資格は電気主任技術者や電気工事士と比べて求人件数が少ないのでしょうか。それも圧倒的な大差がつくのでしょうか。

 

それは同じ国家資格でありながら、資格の性格が全然違うからです。

 

●機械保全技能士=名称独占資格

かってに資格名称を名乗ることが法律で禁止されている資格です。分かりやすく言うと、資格の肩書を勝手に使うことは許されない、と言うことです。

ただし、この資格がないと業務が出来ないと言うしばりはありません。

機械保全技能士、自主保全士、電子機器組立て技能士、半導体製品製造技能士などが該当します。

 

●電気主任技術者=必置資格

ある事業や業務を行う際にその企業や事業所に資格保持者を最低一人、必ず置かなければならないと法律で定められている資格を言います。

電気主任技術者やエネルギー管理士、危険物取扱者などが必置資格に該当します。

 

●電気工事士=業務独占資格

ある業務を行うのに、安全管理、衛生管理などの観点から資格保有者のみがその業務を行うことが出来ると法に定められている場合、その資格を業務独占資格と言います。

電気工事士やボイラー技士、ガス溶接技能者などが業務独占資格に該当します。

 

資格の効力比較

 

繰り返しになりますが、高圧施設の保全を担当する人や、電気工事を行う人はどんなに実力があっても、知識が豊富でも、電気主任技術者や電気工事士の資格を持っていないと作業が出来ません。

その意味では資格そのものにも需要があるのです。

 

一方、機械保全技能士の場合は特にその資格がないと法的に保全業務が出来ないということがありません。保全エンジニアに能力さえあれば資格がなくても企業としては全然困らないのです。

これが機械保全技能士の需要の低い理由です。

 

必置資格、業務独占資格、名称独占資格についてはこちらの記事もご覧下さい。

『設備保全・メンテナンスの転職に役立つ資格を200社大調査!』

 

 

機械保全技能士と言う資格より能力で求人を探す!

ここまで散々、機械保全技能士の資格で求人を探しても見つかりにくい、と言うお話をしてきました。

では、機械保全技能士の資格は全く転職の役には立たないのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。

ここからはあなたが転職するときに、どうすれば機械保全技能士の資格を活かせるか、と言うお話をしていきます。

 

機械保全技能士の求人例から分かること

まず、件数は少ないながらも機械保全技能士と言う資格を応募条件に指定した求人が、どんな仕事で募集しているのか見てみましょう。

 

以下は応募条件に機械保全技能士の資格を必須、または歓迎に指定した求人例です。

 

●新規生産技術部門立上げに伴う管理職候補

予定年収 600万円~900万円

 

●既存工程の改善に伴う設備開発、工法検討、仕様化、設備メーカーとの折衝・管理、設備立ち上げなどのマネジメント業務

予定年収 800万円~950万円

 

●既存生産設備のシステム改良及び新規設備の導入

予定年収 400万円~600万円

 

●機械系の生産工程の効率化・改善等

予定年収 420万円~550万円

 

●化学プラントの機械の設備の管理・メンテナンスを通し、化学製品の安全・安定生産、生産性維持向上を担う仕事。

予定年収 400万円~700万円

 

●保全エンジニアとして、射出成型機の整備や金型の整備など、各種生産設備に対する保全、設備導入・改善活動を行う。

予定年収 350万円~450万円

 

●技術マネージャーとして、工場の設備改善・保全・TPM等の種々改善活動を指導し、現場担当者と共に課題解決を行う。

予定年収 400万円~900万円

 

●保全技能の講師として、グループ内各社の製造、技術系社員を対象に、技能・技術教育を実施する。

予定年収 300万円~560万円

 

以上はごく一部の実例です。

 

他にも100件ほど調査して分かったことは、機械保全技能士は主に次の3つの仕事に対して求人が出ていると言うことです。

 

●新規設備の導入・立上げ・メンテナンスの構築と実施

●既存設備の改善・改造(生産性向上・品質向上・歩留まり向上など)

●技術部門の責任者として生産ラインの保全マネジメントを行う。技術指導、エンジニアの育成を行う。

 

機械保全技能士の資格保有者に期待される業務とは、個々の設備の保全が出来ることは当然で、更にその上をいく広範囲、専門的な仕事だと言えます。

 

そして、それは機械保全技能士と言う資格そのものに期待しているのではなく、あくまでエンジニアの能力に期待している訳です。

 

資格に需要はないが、能力には需要あり

今も説明したように、企業は保全エンジニアとして能力の高い人材を求めている訳で、その実力の目安として機械保全技能士と言う資格を用いているのです。

 

この難しい資格を取得しているのなら、きっと高度の知識やスキルを持っているだろうし、何より自己啓発の意欲があるに違いない、難しい仕事もこなせるに違いないと判断している訳です。

 

一方、機械保全技能士を応募条件に指定しない多くの企業にしても、難しい仕事を任せることのできる優秀なエンジニアを求めています。先ほどの実例で紹介したような求人はいくらでもあります。

 

ただ、機械保全技能士と言う資格を指定していないだけです。まさに資格に需要はありませんが、能力にはいくらでも需要があります。

 

ならば機械保全技能士の資格を転職で活かす方法も自ずから見えてくると言うものです。

すなわち、保全エンジニアとしての能力、実力をアピールするツールとして活かせばいいのです。言い換えれば実力の裏付け、証として利用すればいいのです。

 

では、具体的にはどうやれば機械保全技能士の資格を活かしたアピールが出来るでしょうか?

それには資格取得をゴールとするのではなく、あくまで取得後の成果をアピールするのです。

 

例えば、単に

「機械保全技能士の資格を取得しています。」

 

と言うアピールではなく、

「資格取得前は事後保全が中心だったのですが、取得後は予防保全、改善保全を主に行う能力が身につきました。」

「結果として設備の稼働率や生産性、品質や安全性を向上させることが出来ました。」

「例えば私が担当する生産ラインでは設備トラブルによる停止時間を直近の1年間で前年比50%削減出来ました。」

 

こんな感じです。

肝心なことは、資格によって保全エンジニアとしてどうレベルアップしたのか、具体的な成果を示すことです。あなたのキャリアの中でアピール出来るものをピックアップして下さい。

 

あまり難しく考えず、通常作業の中から新規設備の導入や、改善、改造などを行った実績、成果などをアピールして下さい。

注意点としては、やってもいない成果を誇張してアピールするのは厳禁です。必ずボロが出て逆効果です。

 

機械保全技能士のレベルアップ

 

こうした仕事の実績が、機械保全技能士と言う資格の裏付けによってより説得力、信頼性を増します。うまくアピール出来れば、資格を持っていない人より採用に向けて有利になります。

 

何しろエンジニアとしての実力は、実際に仕事ぶりを見ないと分かりません。本人がいくらアピールしてもそれは主観に過ぎないのです。

 

しかし、そこに機械保全技能士と言う国家資格が加われば、これはかなり説得力のある客観材料となります。ここが機械保全技能士の資格を活かすキモとなります。

 

機械保全技能士を必要とする職種|設備保全・生産技術・プラントエンジニア

機械保全技能士の資格に需要はなくても能力に需要は大ありだと説明しました。では、具体的にどんな職種に機械保全技能士が必要とされているか調べた結果を紹介します。

 

doda、マイナビエージェント、メイテックネクストの3社における機械保全技能士の求人例、合計70件を調べた結果、次の3つの職種に機械保全技能士の求人が多いことが分かりました。

 

■機械保全技能士の求人が多い職種

①量産工場の設備保全・メンテナンス

この仕事が求人件数では最も多いです。業界、業種を問わず、日々量産工場で商品を生産するには設備の安定稼働が必須条件です。

その為の設備保全、メンテナンスは重要な仕事であり機械保全技能士の需要も高いものがあります。

 

②量産工場の生産技術

量産工場の設備安定稼働には生産技術の役割も大きなものがあり、ここでも機械保全技能士の需要があります。

新規設備の導入、立上げ、保全体制の構築。更には既存設備の改善、改造などが主な仕事です。

 

③各種プラント工場の設備保全(プラントエンジニア)

各種プラント工場に設置された設備の運転、保守保全、点検などに機械保全技能士が求められています。

 

■機械保全技能士の資格で検索せず、3つの職種で検索する

設備保全、生産技術、プラントエンジニア、この3つの職種では「機械保全技能士」と言う資格でエンジニアを募集していなくても、相応の能力を持つエンジニアを募集しています。

 

従って、あなたは資格だけで求人を探すのではなく、3つの職種からも求人を探して下さい。間違いなく機械保全技能士の需要が存在しています。

 

 

機械保全技能士の平均年収は377万円~560万円

ネット上で「機械保全技能士」と言う資格名で年収に関するデータを検索しても、まず見つかりません。

一方、電気主任技術者や電気工事士などの資格だと凡その相場が出てきます。これらの資格は転職市場で需要が高いので、複数のデータがすぐに見つかります。

 

そして、どのデータを見てもほぼ同じで、電気主任技術者だと400万円~600万円、電気工事士では400万円~500万円が平均的な年収となっています。

 

しかし、残念ながら機械保全技能士についてはこのような年収データは出てきません。機械保全技能士は必置資格でも業務独占資格でもないため、この資格での年収、と言うのがはっきりしないのだと思います。

 

このようにネット上には機械保全技能士の年収データはないのですが、大手の転職サイトから予定年収で調べることは可能です。

機械保全技能士の資格を持った人材に対して、どんな企業がどんな職種で、どのくらいの年収を予定しているか、それは調査可能です。

 

そこで、doda、マイナビエージェント、メイテックネクストの3つの転職サイトで合計36件の機械保全技能士を募集する求人を調べました。

 

この36件の求人における予定年収は、

 

機械保全技能士の平均予定年収 377万円~560万円

 

と言う結果でした。

 

予定年収の幅を見ると、最低年収は300万円、最高年収は800万円ほどです。この500万円の差は何かと言えば、機械保全技能士としてのキャリアの差であり、能力評価の差でもあります。

 

何度も繰り返し言いますが、機械保全技能士は資格そのものに需要はありません。いくら資格を持っていても実務経験、キャリアに乏しければ高い評価は無理です。

要は機械保全技能士として現場で使える専門知識、保全スキルをどのレベルで持っているかが問われます。それが年収の差となります。

 

なお、調査件数が36件で少ないと思われるかも知れませんが、各社の予定年収の提示金額を見ていると36件で十分傾向が把握出来ると判断しました。各社で差はありますが、それほど大きな差ではありません。

 

 

機械保全技能士のキャリアが活かせる転職サイト7選

あくまで企業が求めるものは機械保全技能士としてのキャリアであって資格そのものではありません。応募書類作成時にも、面接時にも、その点をお忘れなく。

 

今から紹介する転職サイトには業界情報、企業情報に精通したプロの転職エージェント、アドバイザーがいます。

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最後に、あなたが機械保全技能士の資格とキャリアを活かした転職を叶えるための注意点を2つ紹介しておきます。

 

ひとつ目は、転職サイトの利用は何社か複数選ぶと言うことです。それぞれの転職サイトには独自案件が多く、1社利用では好条件の求人を見逃す恐れがあります。

 

二つ目はキャリア採用の場合、交渉によって年収はアップする可能性がある、と言う点です。ここは新卒採用とは事情が違います。

平均年収でも紹介したように、企業からの提示金額には相当な幅があります。あなたのキャリア、能力の評価次第で年収の提示金額は上がったり下がったりします。

 

あなたがお金の交渉が苦手なら、転職のプロであるエージェントやアドバイザーに年収の交渉を依頼しましょう。あなたの実力を正確に伝えるためのアピールが必要です。

 

以上、機械保全技能士の年収について、調査結果を紹介しました。あなたが機械保全技能士の転職によって満足のいく年収を得られることを願っています。

 

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