電子機器組立て技能士とは、職業能力開発協会が行う技能検定に合格し、電子機器の組立や修理に必要な技能を持った人です。この資格は国家資格であり、名称独占資格です。

量産工場の製造ラインでも大型プラントでも、そこで稼働している設備には電子機器、電子部品が多数使用されています。そうした設備の点検や修理、改善改造には電子機器組立て技能士の知識やスキルが役に立ちます。

 

基盤

 

この記事では電子機器組立て技能士がどんな資格なのか、取得の難易度はどうか、そして設備保全の転職に役立つのか、そんなあなたの疑問にお答えしたいと思います。

 

電子機器組立て技能士の資格は設備保全の転職に有利か?

さて、電子機器組立て技能士の資格は設備保全の転職には有利なのでしょうか?

結論から言うと、設備保全の求人で電子機器組立て技能士の資格を応募条件に指定する求人はほとんどありません。

 

「電子機器組立て技能士」をキーワード検索しても、大手転職サイトdodaで5件の求人、キャリコネでも同じく5件、マイナビエージェントに至ってはわずか1件のみです。(2020年10月確認)

検索条件として勤務地や職種、年収条件など全てをフリーにしてもこの結果です。

 

しかし、生産現場の保全活動の中で電子器機、電子部品の保守や修理作業は多いはずです。何しろ生産設備は電子機器の集合体です。

先程例にあげたdoda、キャリコネ、マイナビエージェントの件数は少ないですが電子機器組立て技能士募集の求人も全て設備保全が対象です。保全現場では配線作業のプロが必要なのです。

 

それなのに、なぜ電子機器組立て技能士の求人は極端に件数が少ないのでしょうか。答えは単純で、資格がなくても電子機器の組み立て作業は可能だからです。

 

例えば電気主任技術者や電気工事士みたいにその資格がないと作業が出来ないという訳ではありません。

電気主任技術者は必置資格、電気工事士は業務独占資格ですが、電子機器組立て技能士は名称独占資格です。この違いが転職市場における資格の需要の差となっています。

資格の種類についてはこちら➡『設備保全・メンテナンスの転職に役立つ資格を200社大調査!』

 

実際、私が勤務していた半導体工場にもこの資格は持っていないけれど熟練のピカイチさんは何人かいました。その人たちは資格がなくても仕事は出来るし、スキルの高さは結果が証明し皆が評価します。

だから彼らは電子機器組立て技能士の資格を取る必要がなかったのです。

 

LSI

 

電子機器組立て技能士の転職は2通りの選択肢

電子機器組立て技能士の資格、キャリアを活かした転職先を探す方法は次の2つです。

 

1.製造ラインで電子機器の組立て、配線を行う仕事を探す。

2.生産技術、設備保全などのエンジニア職の仕事を探す。

 

この2通りです。

 

1番目の方法は当たり前過ぎるくらい普通に思いつく方法です。

私が関西の事務機メーカーに勤務していたころ、会社の組立ラインには電子機器組立て技能士の1級、2級を持った人が何人もいました。

 

事務機の制御部を製作したり、機内配線したり、基板の実装をしたり、随所にスキルを必要とします。それで自分自身のスキルアップのために皆、電子機器組立て技能士の資格に挑戦していました。

有資格者には資格手当が支給されていたし、組立ラインの昇進には必要な資格と言う認識でした。

 

こうした電子機器の組立て、配線を行っている工場では常に作業者の募集、求人を行っています。この種の求人において電子機器組立て技能士の資格は採用選考、処遇決定に有利に働くことになります。

 

次に2番目の方法ですが、これはちょっと分かり難いと思います。通常、設備保全や生産技術などのエンジニア職の求人に、「電子機器組立て技能士募集」などまず出てきません。

出てくるのは機械保全技能士や電気工事士などの資格です。

 

しかし、私が勤務していた半導体工場では設備保全にも生産技術にも電子機器組立て技能士のスキルは必要不可欠でした。

何しろ半導体の製造装置、検査装置は電子機器の固まりです。複雑な配線、ずらり並んだ制御盤、それを製作、保守保全しなくてはなりません。それには電子機器組立て技能士のスキルや知識は絶対必要なのです。

 

これは何も半導体工場だけに限りません。自動車でも家電でも量産工場では製造設備、検査設備が稼働しています。それらの設備、器機には電子部品が使用されており、組立て配線作業は必ずついてきます。

 

では、今説明した2通りの転職先探しは具体的にどうすればいいでしょうか。どちらも求人情報に「電子機器組立て技能士募集」とは出ていません。

資格を求めているのではなく、知識やスキルを求めているのです。

 

従って、あなたは電子機器組立て技能士と言う資格で求人検索するのではなく、組立て・配線作業、あるいは設備保全、生産技術と言う職種で求人検索する必要があります。

 

製造ラインの組立・配線で転職先を探す方法

工場の製造ラインで求人を探すなら、工場求人ナビ、工場ワークスの2社がおススメの転職サイトです。

 

工場求人ナビ

工場求人ナビ

 

工場求人ナビは日総工産株式会社が運営する製造系専門の求人・転職情報サイトです。つまり、日総工産が取引先に派遣する仕事のみを専門に扱う転職サイトです。

そして2019年オリコン顧客満足度調査の製造派遣部門で 第1位を獲得しています。

 

工場求人ナビは全国に拠点があり、勤務地、業種、寮、収入など、あなたの希望にピッタリの仕事・生活環境を探すことが出来ます。決めたら90秒でカンタンWEB応募が可能です。

むろん、半導体、自動車、精密部品などの量産工場からの求人も多く、電子機器の組立て配線作業も出ています。

私が調べたところ、全国に組立て、配線作業の求人が700件ほど出ています。あなたの希望の勤務地で検索して下さい。

➡『工場求人ナビ』の情報を見る

工場ワークス

工場ワークス2

 

工場ワークスは工場の仕事の求人が27,000件以上あり業界No1です。未経験者でも高給案件が多数あり経験や資格がなくても正社員を目指すことが出来ます。

組立ての求人は東京だけで700件近くもあります。他にも製造技術、生産技術、設備保全などの求人も東京だけで80件ほどあります。(2019年1月)

こうした求人の中に電子機器組立て技能士のスキルを必要とするものがあります。

 

求人件数が多いだけに、勤務地、雇用形態、給与などの条件を追加してあなたの希望を絞り込んで下さい。

求人が多いのは関東、関西エリアですが、地方都市でもまとまった件数の求人があります。

➡『工場ワークス』の情報を見る

 

設備保全・生産技術などのエンジニア職で転職先を探す

設備保全や生産技術などの求人が多い転職サイトは以下の6サイトがあります。いずれも「電子機器組立て技能士募集」とは出て来ません。

あくまで設備保全、生産技術で求人検索して下さい。多くの求人で電子機器組立て技能士のキャリアが活かせると思います。

 

配線工事6

 

マイナビエージェント

マイナビエージェント

 

マイナビエージェントは特に東京・神奈川・千葉・埼玉エリアに求人が多い転職サイトです。設備保全、及び電気系の生産技術エンジニアの求人は全国に900件ほどあります。

また厚生労働省から「職業紹介優良事業者」に認定されており、転職が初めての人でも安心して相談が出来ます。

マイナビエージェントは高給案件、福利厚生の条件のいい案件が多いのですが、求人の半分以上は非公開案件です。ぜひ会員登録して非公開案件からも好条件の求人情報を入手して下さい。

➡『マイナビエージェント』の情報を見る

 

リクルートエージェント

リクルートエージェント

 

リクルートエージェントは転職成功者45万人以上で実績No1、67.1%が収入アップを実現しています。

求人件数も非常に多く、設備保全、生産技術の職種でなおかつ、電気系のエンジニアに絞って求人検索すると6,800件の求人が見つかります。(2019年1月)

 

これだけ求人が多くても、勤務地や年収を選択できるのはむろん、業界検索、スキル検索、こだわり検索が併用出来るので絞り込みは楽です。

 

なお、リクルートエージェントは2019年オリコン顧客満足度調査の転職エージェント部門で 第2位、ハイクラス、ミドルクラス転職部門で第3位を獲得しています。

あなたの年収を今よりアップ出来る求人が多数あるはずです。ぜひ、転職のプロであるエージェントに相談して下さい。

➡『リクルートエージェント』の情報を見る

 

パソナキャリア

パソナキャリア

 

パソナキャリアは関東、関西、東海エリアの求人に強く、24歳~49歳の年齢層が主なユーザー層となっています。これまでに25万人の転職実績があり、67.1%の転職者が年収アップしています。

そして2019年オリコン顧客満足度調査の転職エージェント部門で 第1位を獲得しています。

転職のプロであるキャリアアドバイザー、リクルーティングアドバイザーがあなたを色々な場面でサポートしてくれます。

 

設備保全、生産技術の求人は全国に3,400件ほどあります。(2019年1月)

このうち、関東に約1,300件、東海に800件、関西に600件となっています。この3つのエリアで求人全体の約8割を占めています。

従って、パソナキャリアによる求人探しは関東、東海、関西エリアのあなたにお奨めです。

➡『パソナキャリア』の情報を見る

 

doda(デューダ)

doda

 

多くの転職成功者が語っているように、dodaは転職の鉄板サイト、まず真っ先に登録して欲しいサイトです。

転職支援実績、取り扱い求人数、共に国内最大級を誇ります。テレビ、ネット、雑誌など多くの媒体で宣伝しているので、きっとあなたもdodaの4文字を見たことがあるでしょう。

 

電子機器組立て技能士のキャリアが活かせそうな設備保全、生産技術の求人が全国に3,600件ほどあります。(2019年1月)

この件数は公開案件だけの件数であり、非公開にこそ好条件の求人が多くあります。あなたはぜひ、無料の会員登録をして有料情報を入手して下さい。

 

doda公式サイトはとても使い易く、求人検索も簡単です。関東、関西、東海エリアだけでなく地方に求人が多いのも特長の1つです。

➡『dodaエージェントサービス』の情報を見る

 

メイテックネクスト

メイテックネクスト

 

メイテックネクストは20代~30代を中心とした関東、関西、中部エリアに強い転職サイトです。エンジニアに特化した求人で常時10,000件以上の案件があります。

モノづくり系のエンジニア支援では実績ナンバーワンを誇ります。

それが可能なのもエンジニア出身のコンサルタントが、専門分野であなたとメーカーの間をつなぐサポートをしてくれるからです。

他の転職支援サイト同様、利用は全て無料です。

 

設備保全、生産技術の職種で、なおかつ電気系のエンジニアに絞り込んだ検索をすると約500件の求人が見つかりました。(2019年1月)

このうち、関東、関西、東海エリアで求人全体の約8割を占めています。同エリアを勤務地希望のあなたにお奨めの転職サイトです。

➡『メイテックネクスト』の情報を見る

 

電子機器組立て技能士検定の概要

では、ここから電子機器組立て技能士について詳しく説明したいと思います。

項目 説明(概要)
資格名 2級電子機器組立て技能士
どんな資格か ・電子機器の組立、修理に 必要な作業能力を認定する国家資格です。

・2級の他に3級、1級、特級の資格があります。

受験資格 ・実務経験が2年以上必要です。(詳細は本文にて)
受験方法 ・上期
願書受付 4月上旬~中旬
学科試験:7月下旬~9月上旬
実技試験:6月上旬~9月中旬

・下期
願書受付 10月上旬~中旬
学科試験:1月下旬~2月上旬
実技試験:12月上旬~2月下旬

・試験場
全国の指定公開会場

・受験料
学科試験 3,100円
実技試験 17,900円

・試験は学科と実技があります。
合格率
(2018年)
・44.0%
設備保全の転職
に有利か
・電子機器の保守保全が発生する設備の求人には有利な資格です。

・単に資格を持っているだけでなく、豊富な実務経験がプラスされるとより転職に有利です。

 

電子機器組立て技能士検定の追加情報

電子機器組立て技能士検定の受験資格

電子機器組立て技能士の受験資格については学歴によって必要な実務年数が短縮されます。ここでは実務年数のみで受験資格をご紹介しておきます。

 

●受験資格(実務年数)

等級 必要な実務年数
特級 一級合格後5年以上の実務経験が必要。
1級 7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験が必要。
2級 実務経験2年以上、または3級合格者。
3級 不問。初心者でも受験可能。

 

受験資格の詳細は下記厚生労働省のホームぺージからご確認下さい。

『受験資格』

 

電子機器組立て技能士検定にはどんな問題が出るか?

出題は等級によって以下のようになっています。

●特級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】

・工程管理
・作業管理
・品質管理
・原価管理
・安全衛生管理および環境の保全
・作業指導
・設備管理
・電子機器組立てに関する現場技術

 

【実技試験】

・工程管理
・作業管理
・品質管理
・原価管理
・安全衛生管理
・作業指導
・設備管理

 

●1級・2級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】

・電子機器
・電子および電気
・組立て法
・材料
・製図
・安全衛生

 

【実技試験】

・電子機器組立て作業

 

●3級電子機器組立て技能士の試験問題

【学科試験】

・電子機器
・電子および電気
・組立て法
・材料
・製図
・安全衛生

 

【実技試験】

・電子機器組立て作業

 

出題の詳細はこちらのサイトをご覧ください。

『出題科目とその範囲』

 

なお、実技の風景が写真で公開されています。こんな雰囲気なのかと分かります。

『実技会場風景』

中央技能振興センターから『3級技能検定の実技試験課題を用いた人材育成マニュアル』がネット公開されています。こちらも参考にして下さい。

 

電子機器組立て技能士検定の難易度(合格率)

平成30年の各等級ごとの合格率は以下の通りです。

等級 受験申請者数 合格率
特級 375人 32.5%
1級 909人 42.8%
2級 2,241人 44.0%

 

3級電子機器組立て技能士のデータは見つかりませんでした。

*合格率のデータ確認はこちら。

『平成30年度 技能検定 実施状況』

『資格概要(技能検定・電子機器組立て/機械検査)』

 

まとめ

この記事では電子機器組立て技能士の検定がどんなものか、その概略を説明すると同時に資格が転職に有利なのか、お伝えしました。

本文の中で説明した通り、電子機器組立て技能士の知識や技術に需要はありますが、資格そのものにはありません。

特に資格を持っていなくても、相応の知識と技術があればそれで十分であり、あえて資格を必要とはしません。

 

従って、転職サイトで資格名を求人検索しても、ほとんど見つかりません。求人企業の需要は資格そのものにあるのではなく、あくまで専門知識と技術にあります。

 

あなたが転職でこの資格を有効に活かすには、まず電子機器組立てを必要とする求人を見つけ、次に資格を使ってきたキャリアをアピールする必要があります。

 

つまり、資格を売り込むのではなく、電子機器組立て技能士としての知識、技術、実績を売り込むのです。そこに求人企業の需要があります。