今回は設備保全の現場で発生する「手段と目的を間違う」問題について記事にしてみたいと思います。

あなたの設備保全業務の参考になれば幸いです。

 

設備保全の目的と手段を間違う

さて、当サイトではあなたに設備保全の求人情報をお伝えしています。

そこで私が全国の様々な設備保全案件を見ていて思うのですが、単に設備の保全だけを行う仕事は給与面でどうしても提示額が低いです。

保全に加えて生産技術、設備設計の業務まで取り込んだ仕事の方が断然、給与が高くなっています。そんな仕事に応募するにはキャリアや資格保有のハードルも高くなっています。

 

資格をとる

 

採用する企業側の希望としては設備の保全だけでなく稼働率の向上や品質の向上まで一緒に任せたいと考えている訳です。その付加価値が高い分だけ給与、年収もアップするという訳です。

この企業の考えはよく理解できます。私が20年間、半導体工場で設備保全を担当した体験から納得出来ます。

 

ところで、設備保全のみ担当している保全要員が陥りやすい間違いがあります。それは手段と目的を取り違えてしまうことです。手段そのものがいつの間にか目的になってしまうことがあるのです。

 

その具体例をお話しましょう。半導体工場に、あるロボット搭載の検査設備がありました。完成されたICを電気的に良品か不良品か判別する装置です。

この装置でよく可動部分のシャフトが破損すると言うトラブルが発生していました。そこで保全要員がとった対策は予備のシャフトを常に用意しておくこと、在庫が切れないようにしておくことでした。

更にシャフト交換の手順をマニュアル化し、誰でも交換作業ができるようにしました。

 

まぁ、これはこれで保全担当としては当たり前の取り組みと言えます。装置の安定稼働を図り、停止時間を最小限に抑える取り組みです。

言うまでもなく、設備保全の仕事は「保全」です。言い方を変えると、「保全が出来ればそれでいい」訳です。

もっと極端に言えば、シャフトが破損することが問題ではなく、破損したシャフトを「保全」出来ないことが問題なのです。従って部品の在庫管理を行い、修理マニュアルを作成する訳です。

 

しかし、どう考えても本当のあるべき姿はシャフトが破損しないことです。破損したシャフトがスムーズに交換出来ることが最良の対策とは言えません。

でも、保全担当からすれば自分たちの仕事がスムーズにいけば、それはそれでOKなのです。むしろよくやったと満足感を感じるかも知れません。

それは言い過ぎ、極端な例えかも知れませんが、それに近い雰囲気が私の現場にはありました。

 

good

 

シャフトを交換するのは装置の安定稼働を図るための手段に過ぎません。もっといい手段があればそちらを採用すべきだし、検討すべきです。

それがシャフト交換が目的化されてしまうと、その目的を達成するための手段として部品在庫、マニュアル作成と進む訳です。

 

そもそもシャフトが折れなければ余分な在庫を持つ必要もないし、マニュアルを作る必要もありません。マニュアルも作れば教育が必要になるし、文書管理の仕事も生まれます。全て余分な仕事なのです。

 

では、シャフトが破損しないようにするにはどうすればいいか?

これを考え、実行するのは本来設備保全の仕事ではありません。生産技術の仕事であり、設備設計の仕事です。シャフトの形状を見直すのか、材質を変えるのか。あるいは負荷を減らすのか。そうした設計的な検討が必要になります。

 

設備保全+生産技術+設備設計

そこでこの記事の最初に戻るのですが、設備保全の求人に生産技術や設備設計の仕事まで含める案件が多いのはそうした背景、需要があるからです。

単に場当たり的な対処療法を繰り返すのではなく、抜本的、本質的な改善を加えることで稼働率の向上や品質の向上を図ろうという訳です。

 

何しろ日々現場で設備保全をやっている担当者が自分で設計をやるのですから、必要な情報は完全に揃っているはずです。現場知らずのトンチンカンな改善とは違います。

私が勤務していた半導体工場でも、私が赴任してから設備保全と生産技術、設備設計を1つの組織、1つの部署にして兼任担当としました。

 

ノギスと図面

 

その結果、対処療法によるその場しのぎは随分と減りました。むろん、恒久対策が実現するまでの暫定対策としての対処療法はアリです。

 

まとめ

今回は保全現場における「手段と目的の勘違い」について記事にしてみました。しかし、こういった本末転倒の話は設備保全に限った話ではありません。どんな仕事の現場にもあり得ます。

お役人の仕事だって、国会議員の仕事ぶりだって、手段と目的を取り違えているとしか思えないケースは多々あります。まぁ、それはここで言っても仕方ありませんが。

 

あなたが生産現場で保全業務に臨むにあたって、どうか今以上に付加価値の高い仕事を取り込んで下さい。設備の安定稼働の為に何かできることはないか、探してみて下さい。本当は手段の1つなのに、それが目的化しているケースがないか、考えてみて下さい。

それが今より付加価値の高い設備保全へのスタートになります。手段と目的を正しく見極める、そんな設備保全を目指して下さい。