20年以上も設備保全の仕事に就いていると、出来のいい設備、出来の悪い設備、両方を随分と見てきました。

私の経験から言えることは、

「出来のいい設備とは故障しない設備ではなく、故障してもすぐに修理出来る設備」

のことです。

出来の悪い設備、出来のいい設備、あなたはどう思いますか?

この記事は設備保全担当者と設備設計者にも読んで頂きたい記事です。

 

故障しない設備なんてない!

凡そ人間が作り出した設備で故障しない設備なんてありません。いつか必ず故障します。そんなとき、

「この設備は故障なんてしない」

と言う思想で作られた設備ほど手に負えないものはありません。故障した場合のメンテナンス性を考慮していない設備ほど困るものはないのです。

 

修理

 

具体的に言えば、

●設備の心臓部、重要部分が見えない、手が届かない、手が入らない、工具が使えない。

●必要以上に特殊部品をやたら使っており、予備の保守部品確保が難しい。

●ほんの1ヶ所修理するために、多くの部品を分解したり、配線を外したりする設備。

●再現性が低く、一度分解すると元に戻せない設備。

●設計基準、組立基準が不明確で、メンテナンスの基準を設定出来ない設備。

 

こんな設備が保全担当としては誠に困るのです。しかし、過去にこんな設備がありました。散々苦労させられた記憶が蘇ります。

 

むろん、設計者として故障しない設備を目指す気持ちは分かります。私も設計業務を長くやったので理解出来ます。

それは設計者として当然のことであり、大事なことです。いかに故障の少ない設備を設計するか、知恵の限りを尽くして考える必要があります。

 

しかし、どこまで考えても故障をゼロには出来ません。設計者としてはいかに故障を少なく出来るか、と言う勝負なのです。

だからこそ、故障したときにメンテナンスがしやすいよう配慮した設計が必要となります。先ほどの出来の悪い設備の例えを全部ひっくり返した設備が出来のいい設備です。

 

●設備の心臓部、重要部分がメンテしやすい。作業スペースが広く、工具も使い易い。

●購入品は標準仕様で構成されており、在庫もしやすいし、単納期で入手可能。

●ユニット化など組立性が考慮されており、分解、再現が楽にできる。

●メンテナンス基準が明確になっており、安定稼働のマージンが大きい設備。

 

こんな設備だと保全する立場としては大いに助かります。

 

コピー機に見る、メンテナンス性の考え方

あなたのご自宅でプリンターを使うことがあると思います。あるいは会社でコピー機を使うことがあると思います。

こうした紙を使う機械は、必ず紙詰まりを起こします。どんな高価な機械でも、ある頻度では紙詰まりが発生します。

 

コピー機

 

私は事務機を設計していたので、その辺の事情はよく分かっています。プリンターやコピー機では、元々の製品仕様が紙詰まりゼロで設定されていません。

初めから紙詰まりは起きるものとして、ある発生頻度までは許容しています。紙詰まりを発生ゼロにすることは不可能なのです。

 

しかし、その代わり紙詰まりが発生しても容易に紙が取り出せ、復旧出来る構造になっています。紙詰まりが発生するたびにサービスエンジニアが駆け付けるようなプリンター、コピー機はありません。

ユーザーにメンテナンスしてもらうことが可能な構造にしているのです。

 

極端に言えば、工場の生産設備もコピー機やプリンター並みが望ましい訳です。現実にはそこまでは無理でしょうが、可能な限り保全担当者が容易に修理出来る構造にしておいて欲しい訳です。

それが、保全の立場から見た出来のいい設備です。

 

設備保全の立場から改善・改造を提案する

あなたが担当する設備の出来が悪かったらどうしますか?トラブルの度に長時間停止、深夜残業や休日出勤を強いられるとしたら。

そこはぜひ、設備保全の立場から設備の改善、改造を提案しましょう。

解決策まで分からなくても、まずは問題点、課題を開発元、製造元へフィードバックしましょう。

 

ひらめく

 

日々設備保全の仕事をしながら、常にそうした問題意識、改善への意識を持つことはとても大事です。

保全には難しいメンテナンス作業をこなす能力も必要ですが、同時に難しい作業を容易な作業に改善していく能力もまた必要です。

それが設備保全担当者としてのあなたの価値を高めることにつながります。